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24-1 石垣島の夜

 

「大丈夫かー?」


「うーーん多分?」

  石垣港に到着、麻紗美は無事現世に帰って来たが、美智瑠は船を降りるなりトイレに駆け込んだ。

 妹と麻紗美が付き添ったが、個室に二人はいらないからと、妹だけ出てくる。

 当たり前だが、もちろん俺は入れない……


「昨日のより揺れなかったけどなー」


「疲れもあったんじゃ無いのかな、お兄ちゃんは寝ちゃったけど、夜なんか、うなされてたから……」


「ふーーん」

 それで俺にしがみついてたのかな?


「あ、出てきた」

 トイレから、麻紗美に付き添われフラフラと出てくる。


「ご、ごめん、もう大丈夫……」

 全く大丈夫じゃない声と顔色で美智瑠が手を上げて俺らに報告する。


「無理すんなよー、とりあえずタクシーでホテルまで行くから部屋で休んでろ」


「いや、大丈夫、明日帰るんだから、遊ばない……ううう」


「ダメ、美智瑠は夕飯まで寝てろよ」


「ううう、ずるい、君らだけ遊ぶ気だろ……」


「美智瑠が寝てるのに遊んだって楽しくないよ、部屋でゆっくりするよ」


「それは駄目だよ、僕の為にもったいない」

 美智瑠が麻紗美にしがみつきながら抗議する。


「全くどっちなんだよー」


「それくらい、言わせてくれよ、とにかく僕に構わずあそんでくれ、復活したらすぐに行くから」


 そう言ってみんなでタクシーに乗り込む、昼の船だったが美智瑠の逆襲の為に、だいぶ時間が過ぎてしまった、後から美智瑠が合流するって事を考えるとホテル内でしか過ごせないだろう。


 ホテルに付いて、フラフラの美智瑠をソファーに座らせ、麻紗美が俺たちに



「美智瑠ちゃん、一人でお部屋にぃ、置いて置けないからぁ、私は一緒にぃ、いるねぇ、二人はぁ、ビーチでぇ遊んで来てねぇ」


 麻紗美はそう言って、先に美智瑠と部屋に戻って行った……


「どうするお兄ちゃん」


「うーん、俺もちょっと疲れたから、部屋で休むよ」


「じゃあ私もーー」


「栞は泳いで来てもいいんだぞ」


「えーーーお兄ちゃんと一緒にじゃなきゃやだー、それに私一人だと声掛けられたら怖いしー」

 確かに妹一人は心配だ、かといってまだ夕方前なのに部屋にこもるのはもったいないなー


「あ、これいいじゃん、栞かき氷食べよう」

「えーーあ、美味しそう、行くーわーーーい」


 ホテルの案内に書いてあったプールバーに向かう

 プールバーと言っても、ビリヤードではなく、プールサイドで軽食や飲み物を頼めるバーの事


「美味しい、ちべたいいーー」

 妹はマンゴーの乗ったかき氷、俺はパイナップルのフルーツジュースで南国気分を満喫


「そう言えばさー、今年母さんの休みっていつなんだ」

 相変わらず俺には親の情報は聞かされない


「えっとねー、8月に入ってすぐらしいよ」

 俺に食べる?と妹がスプーンでかき氷を差し出す。


「え、じゃあもうすぐじゃん」

 あーーんにはもうなれたとばかりに食べる、ちべたい


「うん、長野行きのチケットはもう買ったって」

 そのスプーンを嬉しそうに咥える、やめて、それはドキドキしちゃう……


「は?聞いてないよ俺」

 母の実家は長野県、毎年帰省するんだが、俺と妹は去年受験だったので行ってない


「今年は入学祝いするから絶対に来いってお祖母ちゃんが言ってたからお兄ちゃんも行くんだよ!」

 妹は笑顔なんだが、何か気合いが入っている気がするんだが、なんだろう?


「じゃ、帰ってちょっとしたらすぐ長野か、忙しいな」

 俺は家でゆっくり本が読みたい……


 妹とプールサイドでちょっとしたデート気分を満喫し、部屋に戻った。


「私お風呂入るねーお兄ちゃん一緒に入る?」


「無理です、行ってらっしゃい」

 そう言って妹は部屋のバスルームに入って行く

 シャワーの音が漏れてくるのが気になってしょうがないので、バルコニーに出て外を眺める。


 石垣島の海とホテルのプール、緑の木々、美しい景色が広がる、夕焼けに照らされ、青、オレンジ、緑、絵画の様な色合いに心が奪われる。


 波照間島には負けるが、やはり別世界にいるようだ。


「波照間か……」


 あの夜の事を思い出す。

 突然の3人からの告白、妹はわかっていたが、2人が俺を好きだったなんて夢にも思わなかった。


 妹は、血が繋がっているとはいえ、俺が今最も愛していると言っていい存在、美しい黒髪、ちょっとつり目だが愛らしい大きな目、そして俺の事をとにかく好きと言ってくれる、ものすごく大切な人……、ただこれが兄妹愛なのか、俺にはまだわからないが……


 美智瑠は、ちょっと天然なところがあるが元気でそして、ものすごく魅力的だ。銀色の髪、白い肌、まるで妖精と思わせる現実離れした容姿、そして昔からの俺の相棒、俺は親友と思っていたがまさか……


 麻紗美は、中学の時にいつも一人だった、俺と同じ匂いがした、あのしゃべりが人に迷惑をかける、だから自分の殻にとじ込もっている気がした。

 でもヤッパリ今回の旅行でわかったけど、今の麻紗美が多分本来の姿なんだろう。

 面倒見がよく、思いやりがあり、みんなを引っ張っていく力も持っている。

 可愛く、スタイルも3人の中じゃ一番良い、料理も上手く多分いいお嫁さんになるだろう、今の麻紗美は凄く魅力的だ。


 そして、俺、なんの取り柄もない、自己評価普通と言っていたが、普通以下なんじゃないか? なんでこんな男にあの美少女3人が?


「全く意味がわからない」

 らのべじゃあるまいし、なんで高校生になって、急に3人の美少女が、突然俺の事を好きになるんだ?


 美しい景色を見ながら、そんな思いが頭の中を駆け巡っていた。



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頑張って更新続けます。

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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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