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74-2 お兄ちゃんに告白されたんだがお兄ちゃんと付き合ってどうするんだ?


 私達は駅前にある某有名ハンバーガー店に入った。

 昼前なのでまだ店内は空いていた。


「なに食べる?」


「うーんポテトと烏龍茶でいいかな?」


「まだ昼前だしな、じゃあポテトLサイズで俺はコーラにするか」

 お兄ちゃんはそう言って注文するとお金も出してくれた。


「お兄ちゃん私の分」

 私はそう言って半額分の小銭をお兄ちゃんに渡そうとするが、お兄ちゃんは首を横に振る。


「今日は……彼氏として格好つけさせてよ」

 ニッコリ笑うお兄ちゃん、うわーーうわーー、お兄ちゃんがこんなにもデレるなんて。

 ああ、もうこれ絶対夢じゃん。

 何度も何度も口の中で舌を噛んで現実かを確かめる。


 うんうん、間違いなく痛い。

 少し血の味もする。


「ありがと」

 私がそう言うとお兄ちゃんはウインクで答えてくれた。


 ああん、もう、他人がやったら張り倒したくなる様な行為も、大好きな人なら蕩けそうになっちゃう。

 今度は気絶しないように、スカートの上からそっと太ももをツネリ正気を保つ。


 本当にお兄ちゃん私を殺しに来てるなあ。

 何か私に恨みでもあるのだろうか?


 まあ、お兄ちゃんに殺されるなら本望なんだけど、もう少しこの天国を味あわせてえ。

 

 幸せ過ぎて、もうずっと顔がにやけてしまっている。

 もうこのまま顔の表情が笑顔に固定され戻らないんじゃないかと心配になる。


 まあ、それならそれでいいや。

 そうすればずっとお兄ちゃんに笑顔を見せられるし。


 私は元々ポーカーフェイスが苦手だ。

 感情が直ぐに顔に出てしまう。


 性格的にあまり怒る事は無いけど、それでも友達の相談についつい感情が出てしまう時がある。


 お兄ちゃんに対してもそうだ。

 常に一番の顔でお兄ちゃんに相対する様に心掛けているのだが、中々そうも行かない。


 毎日鏡に向かって笑顔を練習したり、一番良く見える角度を探したりしてるけど、、やっぱり喜怒哀楽が表情となって現れてしまう。


 思えば良く泣いた1年だった。

 告白してからは泣いたり笑ったりが多くなった。


 子供の頃からあまり泣いた記憶は無い、だからこの1年自分のあまりの感情の変化に少し引いた。


 よく泣いて、よく笑い感情がより豊かになった気がする。


 お兄ちゃんと一緒にいると、全てが豊かになるのだ。


 胸以外……お兄ちゃん大きいおっぱい好きなのかな? でもどっちかと言うとロリコンだし。


「おし、2階に行くか」

 お兄ちゃんは店員さんから商品を受け取るとそう言って階段に向かって歩いて行く。


「うん」

 そう言ってお兄ちゃんの、彼氏の後に付いていく。


 2階には数人のお客さん、皆スマホかパソコンを見ていてこっちを見る事は無い。

 私達は窓際のテーブルに座った。


 正式に付き合って最初の、制服ファーストフードデートが始まる。


 お兄ちゃんは窓の外を一度眺め、私に視線を戻しニコニコしながらコーラを一飲みする。

 思えばお兄ちゃんがこんなにも私を見てくれる事は、今まであまり無かった。


 お兄ちゃんの目から好き好きビームの様な物が発射され私を射抜いてくる。


 しかし、二人でテーブルに広げたポテトをつまみ、一息つくとお兄ちゃんの顔が真剣なそれに変わる。


 本当はここでずっとイチャイチャ話に花を咲かせたい所だけど、私もそれはわかっていた。


「それでさ、今後のことだけど……」


「うん」


「──だよなあ」

 何も言わなくても伝わるお兄ちゃんの言葉、まるで結婚20年目の夫婦の様に……夫婦……えへへへへえ。

 おっと、今は真剣な話の最中だった。


「せっかくの彼女を自慢出来ないのは正直言って辛い……かといって大々的に発表するのはまずいよなあ」


「……ありがと、お兄ちゃんがそう言ってくれるだけで幸せだから」


「ああ、うん、なんかさあ、長谷見ハーレムなんて悪名が付いて回ってるし、俺は栞一筋なんだあって言いふらしたい」


「……」

 なんだろう……このお兄ちゃんのデレッぷりは、お兄ちゃんって彼女が出来るとこうなっちゃうんだ。


 さすが兄妹だなあ、まあ、私はこんなお兄ちゃんも問題なく全然好きだけど、ムシロ最高なんだけど……でもこういうのを嫌う人もいるからなあ。


 そうお兄ちゃんの事を一瞬心配したけど、これから一生離すつもりは無いので別にこれで問題無し。


「とりあえず……美月ちゃんには言わないとね」


「……だよなあ、でも大丈夫かなあ」


「何が?」


「いや、美月の事だから俺達に遠慮して長野に帰るとか言い出さないかなって」

 優しいお兄ちゃんはそう言って不安な顔で私をじっと見る。


 私はポテトを一つつまみ口に放り込むとクスクスと笑いながら言った。

「大丈夫大丈夫、あの子は全然お兄ちゃんの事全然諦めてないから」


「そうか?」


「あーーー、嬉しそうに、ほんとロリコンなんだから」


「ち、違う、俺はロリコンじゃねえ、それに」


「それに?」


「……今は、栞一筋だし」


「……」

 ああ、幸福が津波の様に押し寄せる。

 泳ぎの得意な私だけど、こんな状態じゃ溺れそうになっちゃうよ。


 これだけお兄ちゃんを見続けているのに、まだまだ発見が尽きない。


 まあ、今までも妹として愛情をたっぷり与えて貰っていたから、そこまでの驚きは無いんだけど。

 やっぱり釣った魚に餌はやらないなんて男子が多い中で、お兄ちゃんのこの行動に改めて好きになって良かったって思わされる。


 私はテーブルの上にあるポテトを横にスライドさせ、自分の手をテーブルに乗せる。


 それを見てお兄ちゃんは直ぐに私の手に自分の手を重ねた。


 そしてお互いに手をギュっと握り合う。


 大丈夫、この先何があろうとも、この手があれば、そしてこうやって握ってくれれば、何があろうとも大丈夫。

 私は大好きな人の手を握り、そう心に誓った。



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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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