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74-1 お兄ちゃんに告白されたんだがお兄ちゃんと付き合ってどうするんだ?


「よし! お兄ちゃん! 直ぐ家に帰ろう」

 私は飛び起きるとお兄ちゃんにそう言う。


「え? な、何でだ? 具合でも悪いのか?」

 私のその言葉にお兄ちゃんの顔が心配そうなそれに変わる。


「ううん、今は最高な気分だよ!」


「そ、そうか……」

 優しいお兄ちゃんはホッとした表情になる。

 ああ、もう、愛されてるって自覚がどんどん増幅して行く。


「もうこのまま帰ろう、直ぐに帰ろう」

 お兄ちゃんの手を引っ張りベンチから立たせると私はお兄ちゃんの腕にしがみつく。


「いや、まあ良いけど、帰ってどうするんだ?」


「え? 決まってるでしょ、今なら美月ちゃんいないし、エッチな事するには最高のタイミングじゃない?」


「いやいやいやいや」

 お兄ちゃんは困った顔で首を振る。


「えーー、両思いになったんだから、もう良いでしょ?」


「いやいやいやいや、駄目だろ」

 お兄ちゃんは更に眉間にシワを寄せちぎれんばかりに首をブンブンと振る。


「えーーーーー」


「いや、えーーーーーじゃないよ、物事には順序ってのがあるだろ?」


「そんなの今まで散々やったでしょ? また1からやるつもり? もう飽きられてるよ、だからPV少ないんだよ?」


「いやいやいやいや、pvってなんだよ?! 何を言ってる? いや、だからさ、今までは遠慮していたっていうか……」


「……へええ、つまり、お兄ちゃんはもっとじっくり味わいたいと?」


「いや、まあ、そう……かも」

 お兄ちゃんは顔を真っ赤にしてそう言った。


「さっきチューした癖に」


「それは誓いのキス的な……」

 お兄ちゃんは真っ赤な顔でそう言った。

 ああ、なにこれ可愛すぎだよ、もう私を殺す気? 嫌だよ正式に付き合い始めたばかりなんだから!


「えへへへ、そっかそっか、うんうん、だよね」

 そう、私は可愛いお兄ちゃんを見てうんうんと頷いた。

 だよねだよね、今まではお試し期間だったって事だよね。

 

 つまり私にとってこれが人生初の彼氏って事になる。

 そしてお兄ちゃんは人生初の彼女が出来たわけだ。


 つまりは、今までとは違う楽しみ方が出来る、去年とは違う付き合い、要するに二度お得という事になるのだ。


「そっかそっか、じゃあ、まずは制服デートだね」

 私はそう言ってお兄ちゃんの腕を引っ張る。


「いや、今すぐ? ちょっと、鞄とかどうするんだよ?」


「いいよそんなの、そもそも今さら教室戻れないでしょ?」

 授業サボってこんなウキウキ気分で一緒に教室に戻ったら、何か変だと思われちゃう。

 かといって、今の私にポーカーフェイスは難しい。 


「そうだな、まあいいか、えっとじゃあ、どこか行くか」


「うん!」

 もうすぐ授業が終わる。

 そうなれば誰にも見られずに抜け出すのは容易でなくなる。


 私達はなるべく目立たない様にそのままそそくさと裏門から学校の外に出た。


 誰もいない登下校道、その住宅街のど真ん中をとりあえず家とは逆方向に向かって歩いて行く。

 そう言えば去年、制服デートでお台場に行ったよね。


 寂しいかな、あのお兄ちゃんと乗った観覧車、今はもう無い。


 でもお兄ちゃんとの思い出は今もしっかりと私の頭のフォルダに記録されている。

 

「どこ行くどこ行く」

 私は彼氏に……彼氏に、(大事だから二度言った)そう聞いた。


「そうだなあ、とりあえずファーストフードでだべるとか?」


「おお、良いね良いね~~」

 お兄ちゃんとならどこでも良いんだけど、やはりこの後の事を色々と話さなければならない。


 家だとやっぱり変な方向に行きかねないので、まあ私はそれでも(それが)全然良いんだけど、ムッツリお兄ちゃんはこの関係を楽しみたいって言ってくれてるので、勿論私も喜んでそれに付き合う。


 両思いの彼氏彼女関係を初な感じで楽しむのも大変よろしゅうございますよ。


 するとお兄ちゃんは早速私に攻撃を仕掛けてくる。

 そう、お兄ちゃんはさりげなく私の手を握ったのだ。


 きゃはあああ、なんか、物凄く可愛い。

 そっかそっかお兄ちゃんの心は今、中学生なのか。

 うんうんいいよいいよ、私も好きだよこの感じ。


 隠していた恋心、中学時代から友達から散々聞かされたのろけ話。

 それを聞いて私はずっと脳内でお兄ちゃんとそんなのろけ話で聞かされた様なデートを繰り返してきた。


 そして去年お兄ちゃんに告白して、出来るだけそんなデートを決行した。

 でもそれはあくまでも兄妹としてだった。


 兄妹として付き合うという範疇でのデートだった。


 今その壁は崩れ去ったのだ。


 高過ぎる壁はお兄ちゃんからの告白という事で脆くも崩れ去ったのだ。


 兄妹で付き合うとかタブーだって言う人がいる。

『タブー?』何それ美味しいの?

 知ってるだろうか? 愛し合う二人を邪魔する権利なんて実は誰にも無いのだ。

 タブーとか言って文句言う人がいるなら、法治国家として法律で私を罰すれば良い。

 どこにでも通報すればいい。


 でも私達兄妹を阻む法律は一つだけ、結婚出来ない。

 それだけなのだ。

『婚姻届けは受理されない。』

 法律にはただそれだけしか記載されていないのだ。


 つまり、この国には、私達の恋愛を止める法律は存在しないのだ。


 そう! 法律に引っ掛からない、つまり悪い事では無いのだ!


 兄妹恋愛ばんざーい!


 お互い同意していれば、エッチな事をしたって構わないのだ。

 私はお兄ちゃんの手をギュっと握り返す。


 そして私はお兄ちゃんを見てニッコリと笑う。

 お兄ちゃんは私を見てニッコリと笑い返してくれる。


 はうわあああああああ……。


 ああ、もうこれだけで幸せだ。

 もうこれだけで天国に行っちゃいそうになるよ。


 私は女の子だからこれだけで幸せになれるけど男の人ってそうじゃないって聞く。

 当然お兄ちゃんはエッチな本とか一杯持っているしこれじゃ物足りないって思ってるだろう。


 けどお兄ちゃんも暫くはこうしたいって言ってくれてる。


 だから今はお兄ちゃんに甘えて私もこの状況を、この現実をじっくりと楽しみたいって思ってる。


 さあ、今から私達の本当の恋愛がいよいよ本格的に始まるのだ。


 飽きたなんて言わせないからね!

 


 

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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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