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72-6 シスコンの兄


 お兄ちゃんにお腹が冷えない程度のアイスを与え、美月ちゃんとの話を続けた。


「それで、何かわかったの?」


「うーーん、はっきりとは……ただ」


「ただ?」


「ううん、何でもない……」

 美月ちゃんのその言い方は、それはある程度わかっている時のそれだ。

 確証が持てない時はいつもこんな言い方をする。


「とりあえずご飯を食べよっか、今日はもう宅配にしよう、お兄ちゃん何食べたい?」


「えーーっとね、うんとね、ハンバーグ」

 やだ可愛い……お兄ちゃんは好きな食べ物も子供の頃に戻っていた。

 

「美月ちゃんは?」


「美月は何でも」


「じゃあ……」

 私はスマホを操作して適当にハンバーグを注文する。

 本当は作りたかったんだけど、今はお兄ちゃんから目を離さない方がいい。

 何故かそんな気がしていた。



「じゃあ、部屋で調べるから」

 夕飯をさっさと終わらせ美月ちゃんはそう言って部屋に戻って行った。


「ふわあああああ」

 そして美月ちゃんが部屋を出ると、私の隣に座っていたお兄ちゃんがおなか一杯になったのか? 大きなあくびをする。


「お兄ちゃん、眠い?」


「うん」


「じゃあ、歯を磨いて寝よっか」


「はーーい」

 素直に私の言う事を聞くお兄ちゃん……。

 そこでふと疑問に思った。

 お兄ちゃんは自分の姿や私の姿ばどう見えているのだろうか?

 多分だけど、想像すると私の事を名前で呼んでいるので私が妹だという認識はあるのだと思う。

 でも素直に聞いている所を見ると、年上のお姉さんという錯覚も起こしているのだろう。

 見ている物を脳内で都合良く変化させ混乱しないようにしているのかも知れない。


「それにしても……姿は愛するお兄ちゃんのままで、仕草や返事が子供の頃のお兄ちゃんなんて……」

 何この殺傷能力……もう私の胸がキュンキュン締め付けられっぱなしで、今にも心臓発作で死にそう……。

 あああん、可愛い可愛い可愛すぎるううう!


 私と一緒に歯を磨くお兄ちゃん……歯の磨きかたも子供の頃に見ていた姿に思わず泣きそうになる。

 なんかリアルなアルバムを見ているようで……。


「じゃあガラガラってしてね」


「ガラガラガラガラ」


「はうん……」

 女の子って生き物は、男の人を格好いいよりも可愛いって思ったらもうおしまいなの。

 ただでさえ可愛いお兄ちゃんがもう……。


「えっと……今日は一緒に寝る?」

 私はタオルで口を拭くお兄ちゃんを見上げてそう言った。


「……うん!」

 一瞬『え? 一人じゃ嫌に決まってる』って顔をしたお兄ちゃん、ああん、ごめんね、いじめるつもりじゃなかったの。

 でも、この時思った。

 やっぱり少し不安なんだろう、今の自分の状態が……美月ちゃんの催眠術で無理やり混乱しないようにされてるとはいえ、不安は絶対に付きまとう筈だから。


 私はお兄ちゃんの手を握り自室向かう。

 勿論今のお兄ちゃんは小学生なのだから一切の下心は……無い……よ?


 今までの事を考えたら、こんなにあっさりと一緒にお風呂や同衾が出来てしまうなんて。


 夢のようだわ!!


「じゃあ、お部屋に行こっか」


「うん」

 私がソウイウトお兄ちゃんは眠そうに目をこすりながら私の手を握る。

 あひぇひゃふひへほりゃへひぃ

 ああ、もうずっとこのままでいて欲しい、いて欲しすぎる。


 見た目は格好いいお兄ちゃん、中身はウルトラ可愛い小学生とか、もう……殺される。


 すでにずっと心拍数が200を越えているくらいドキドキと胸が高鳴っている。


 こんなお兄ちゃんと一緒に寝るとか、ああん、もう本当に死にそう……。


 ダメダメ、私にはお兄ちゃんがこうなった原因を探る義務があるの。

 美月ちゃんさっき言っていたようになにか原因がある筈。


 だから今日は……一晩中寝ないでお兄ちゃんを愛で……監視しなければいけないのだ。


 まあ……そもそも寝れるわけ無いんだけど。


 部屋に入るとお兄ちゃんは私のベッドに自ら進んで寝転がる。

 本来ならお肌の手入れをしてから寝るんだけど、お兄ちゃんを待たせてはいけない。


 今日だけは仕方ないと、私は急ぎお兄ちゃんの隣に寝た。


 お兄ちゃんに布団を掛けると私を見て嬉しそうに笑う。

 その天使のような微笑みに私も自然と笑顔が溢れる。


 ああ、なんて幸せな時間なのだろう……お兄ちゃんの誕生日なのに……こんなにも沢山んプレゼントをもってしまっていいのだろうか?

 神様(作者)に感謝しなければならない……とりあえず脱げばいい?


 なんて変な事を想像していると「スースー」と寝息が聞こえる。

 疲れていた脳内だろうか? お兄ちゃんは直ぐにかねてしまった。


「はああ……かわゆす……かわゆす過ぎる」

 私は起こさないように、お兄ちゃんの可愛いほっぺをツンツンと突っつく。


 ああ、幸せ……本当に……幸せ………………。


 寝ないと言っていたのに、お兄ちゃんの寝顔があまりに可愛すぎて悶絶するかのように、いつの間にか寝てしまっていた……。

 そして、私はとある違和感で目が覚める。


 そう……ごそごそと何かが私の身体を……這っている。

 目が覚めた私はうっすらと目を開けると……


 そこには……私の着ていたピンクのフリフリパジャマを捲る人物が……って! 


 そう……お兄ちゃんが……私のパジャマを胸元まで……捲っていた。

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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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