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71-6 新たなる一歩


 冗談か? 本気か?

 ベッドに誘う小学生に俺はゆっくりと近付く。


「おにい……ちゃま」

 俺が近付くと、美月は両手を広げ目を瞑った。


 少女特有のきめ細かい肌、長い睫毛、近い将来恐ろしい程の美女になるのは間違いない程に整った顔立ち。


 既に幼さの中に色気を感じる。

 そんな美月の横に俺は仰向けに寝転んだ。


「おにいちゃま?」


「……なあ、美月……美月って将来何になりたいんだ?」

 俺が天井を見上げ美月にそう問いかける。


「将来?」


「そう、美月には有り余る程の可能性があるんだ……可愛いし、頭が良いし、運動神経抜群だし」


「将来かあ、まあ頑張れば、P≠NP予想とかホッジ予想とかリーマン予想とか解けるかもねえ、あ、でもポアンカレ予想を物理学からアプローチしたのは目から鱗だったなあ、美月もまだまだだねえ」


「……お、おう」

 ミレニアム懸賞問題をあっさり解けると豪語する……まあ、美月なら簡単なのかも……。


「でもさあ、数字とにらめっこしてても楽しくない、こうしておにいちゃまとおねえちゃまと一緒にいる方が何倍も楽しいよ」

 そう言うと美月は俺に抱きついた。

 美月の髪から身体から、子供特有の甘い香りが漂う。

 細くて長い華奢な手足、当たり前だがこんな子供とエッチな事をするなんて、全く想像も出来ない。


 でもとにかく可愛い、とにかく愛しい。


 俺のそんな考えが、行動が美月を勘違いさせてしまっているのかも知れない。


 女子の成長は男子の何倍も早い。

 身体も心も、ましてや美月の頭脳は大学生に匹敵する。

 いや頭脳タだけで言ったらそれ以上かも知れない。


 記憶力も計算スピードも普通の子供の何十倍も早くそして深い。


 一つの事で何百もの事を知り考える事が出来る。


 そして、知識は経験により知恵なる。


 美月が今求めているのは経験なのだ。


 だから婆ちゃんも、美月が東京の学校に行く事を反対しなかった。

 長野の田舎よりも、こっちの方がよっぽど経験を積めるから。


 とはいえ! 経験ったっていわゆる大人の経験ってのを積ませるわけには行かない、


 当たり前だ!!


「ねえ……おにいちゃま、何を考えてるの?」


「え? いや、特には……」


「嘘だね、全くおにいちゃまってエッチな癖に本当ヘタレっていうか、優しすぎるっていうか」


「だ、誰がエッチだ!」

 俺がそう言うと美月は俺の部屋の色んな所を指差して行く。


「な、何でええ!」

 俺には直ぐにそれが何を指しているのが分かった。

 美月は俺の例の本を隠してる所を指差しているのだ。


「おにいちゃまもそろそろPC導入してクラウドに保存とか考えた方が良いよ?」


「おおお、俺は紙が好きなんだって、いや違う、みみみ美月! まさかみ、見たのか?」

 まさか、いやでもあれは、あれの場所だけは指されていない……。


「ほんとお兄ちゃ待って、色々考えてるけど説得力無いよね~~」

 美月は枕に頭を乗せたまま、ニヤニヤしながら俺を見る。

 美月の艶のある美しい髪がサラサラと枕から落ちていく。

 

 ああ、可愛い……いや、違う!


「おおおお、俺はロリコンじゃじゃ、無いし」


「だーーかーーらーー説得力無いってええ」

 美月はさっき唯一指さなかった場所を指示した。


「ひゃうっ!」

 ば、バレてた!


「あははははは、おにいちゃまおもしろーーい」


「ち、違う、あれはたまたま」


「Yes!ロリ」


「ちがああああああああああう」

 俺はそれ以上言うなと慌てて美月の口を押さえる。

 するとその手のひらにぬるりとした感触が。


「うぎゃああ!」


「おいしい」

 俺が慌てて手を離すと美月は可愛らしいピンクの舌をペロリと出して唇を舐める、


「いやいやいやいや」

 なんだこの小学生の色気は……。


「さてと、じゃあおにいちゃまは美月に興味津々ってのがわかったから、行こうか?」

 美月は身体を起こすと俺の肩に手を添えた。


「い、行く? 行くって?! どこへ?」


「決まってるじゃない、恒例の……お、ふ、ろ」


「いやいやいやいやいやいやいやいや」

 俺はブンブンと首が千切れる程横に振る。

 さすがに……ワンパターン過ぎだろ?

 さすがにネタ切れだろ?

 

 俺が首を振っていると美月は笑顔から一転、まるでアサシンのような表情で(どんな表情だよ)扉を見る。

 そして自慢の瞬発力でベッドから飛び降り、足音を鳴らさずに扉の前まで駆け寄り、そっと扉を開いた。


 するとそこには、扉に耳を当てているべたべたの恰好でしゃがんでいる栞がいた。


「おねえちゃまーーアウト~~」

 美月は、笑ってしまった芸人に告げるどこかの副社長のような口調で親指を立ててそう言う。


「み、みみみ、美月ちゃん!?」


「お、ね、え、ちゃま?! 約束が~~ちがうんですけど?」

 しゃがんだままの栞にむかって、悪役令嬢のように腕を組みニタニタと笑いながら見下ろす美月。


「ち、ちが、ってか美月ちゃん?! そ、その、美月ちゃんにはまだ早いっていうか、そう、お兄ちゃん! お兄ちゃんが捕まったらどうするの!!」

 

「いとこ同士で一緒に寝ようが、一緒にお風呂に入ろうが捕まる理由ってあるの?」


「そ、それは……そう! 美月ちゃんはそうかもしれないけど! お兄ちゃん! お兄ちゃんはロリコンだから! つい美月ちゃんに手を出したり、『ほら美月脱いでごらん』とか言ってスマホでパチリとかしたら!」


「お、おい!」

 話を誤魔化すかのように、こっちにとばっちりが来る。


「ふん! 自分はしたくせに」


「え?」


「おねえちゃまはずるいよ! 自分は色々したくせに!」

 美月の言葉を聞いた栞は、眉間に皺を寄せ俺を睨みつける。

 その顔に俺はブンブンと手を顔の前で横に振り「言ってない! 何も言ってない!」と栞に向かってそう叫ぶ。


「とりあえず、おねえちゃまは約束を破ったので、おうちから退場!」


「え?」


「ってわけにはいかないから、お兄ちゃま、昨日の荷物はかたずけてないよね?」


「え? 荷物って泊りの?」


「そう、着替えだけ入れ替えたらいくよ、お兄ちゃま!」


「行くって……どこへ?」

 俺がそう言うと美月は俺から目線を外し栞を見てニヤリと笑いながら言った。


「おねえちゃまの……居ない世界に!」


いったい二人とこの物語はどこへ行くんだろう?(;´Д`)アウアウ

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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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