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70-1 大イベント


 春

 入学式、新学期、出会いと別れ。

 幸いにもお兄ちゃんと同じクラスになれた。


 それでも、他のクラスに行った友達、卒業していった先輩、入学してくる後輩にメールを送る。

 感謝の気持ちを伝え、これからも宜しくと。


 本当ならば直接会ってお話したいけど、残念ながら今はそんな場合ではない。


 毎年この時期は友達への対応もおざなりになってしまう。


 なぜならば……一大イベントがあるからだ。


 そう、四月……四月といえば、お兄ちゃんの誕生日。

 聖なる誕生日、そして今年は特別なのだ。

 

 バレンタインではうまくいかなかった……。

 だから今度こそ、お兄ちゃんの誕生日は絶対に……。


 私とお兄ちゃんは付き合っているだけではなく、好きあっている。

 うふふふふ、この間お兄ちゃんが記憶喪失になった時私は確信した。


 つまり、今お兄ちゃんが欲しいもの……そ、れ、は。


 わたし!


 今までは冗談だった……ううん、私は本気だったけど。


 今年はお兄ちゃんも受け取ってくれるだろう……私自身を。


 でも、それには色々と条件がある。


 まずは生徒会の面々だ。


 今は小康状態だが、油断出来ない。抜け駆けされないように常にお兄ちゃんを監視して隙を与えないようにしなければならない。


 さらには苺ちゃん……私よりも若いという点でこちらも油断出来ない。


 そしてあの忌々しいお嬢様、西園寺 茜。


 でも一番厄介なのは他でもない……美月ちゃんだ。

 一緒に住んでいる限りあの子を出し抜くのは至難の業。


 でも、美月ちゃんが一緒に住んでいるおかげで、お兄ちゃんが私の事をかなり意識している事に私は気が付いたのだ。


 あの子は防波堤……だからいつもベタベタしてる……きいいいいいいいい!


 わかっている、わかっているんだけど……あのガキ、ムカつくうううううう。


 おっといけないいけない……頭にボツリヌストキシンとテタノスバスミンとマイコトキシンとパトラコトキシンとテトロドトキシンが浮かんで来ちゃった、てへ。


 えっとヤドクカエルって手に入るのかな? 河豚の肝の方が早い?


 なんて冗談を言ってる場合ではない。


 そもそも化学に関しては美月ちゃんに勝てるわけもなく返り討ちを食らう事は必須。


「今年はなんとしても、お兄ちゃんと二人っきりにならなければ……」

 高級ホテルのお部屋、二人きりでお兄ちゃんの誕生日のお祝いをする。

 ルームサービスで豪華な食事に舌鼓。

 

 窓の外を見ると、東京の夜景が広がっている。

 遠くにはレインボーブリッジ、その向こうにはスカイツリー。

 部屋の灯りは消し、テーブルに置かれたロウソクの火がゆらゆらと揺れている。

 

『栞……美味しいかったよ』


『ううん、まだ……お兄ちゃんに……とっておきのご馳走があるの』


『えーー? なんだろ』」

 笑顔のお兄ちゃん、私はテーブルを乗り越えそっとキスをする。

 お兄ちゃんはわかっていたのか驚く事なく自らの唇をペロリと舐めた。


『あはは、本当だ……美味しいよ』


『今のは前菜だよ……』


「じゃあメインデイッシュは?」


『勿論……お兄ちゃんの一番欲しい物』

 私はそう言うと席から立ち上がりドレスを脱ぎ捨てる。

 そしてお兄ちゃんの一番好きなガーターベルト……熊さんパンツ姿でお兄ちゃんに抱き付くとそのままベッドに……えへへへへへへへへ


「おっと……ヨダレが、じゅるじゅる」


「お姉ちゃま? 何してるの?」


「み! 美月ちゃん! の、ノックしてよ!」

 

「したよ?」

 私は慌てて乱れた服と髪を直す。


「それで何かしら?」

 お兄ちゃんじゃなく美月ちゃんが私の部屋に来るって事は何か用件があるって事。

 遊びに来る事は決してない。


 とりあえず深く突っ込まれないように私は澄まし顔で美月ちゃんに用件を聞いた。


「うん、あのねお兄ちゃまの誕生日なんだけど」


 来た! まさかの先制攻撃に私は身構える。


「美月ね……この1年……お兄ちゃまに色々と助けて貰ったからそのお礼にお兄ちゃまを盛大に祝ってあげたいの」


「え? あ、うん」


「それでね、お姉ちゃまに相談なんだけど……」

 来た、美月ちゃんは恐らく二人きりにさせろって言うんだろうと私はそう思いさらに身構える。


「土曜日のお兄ちゃまの誕生日……お姉ちゃまに上げる」


「え?!」


「金曜日の夜から土曜日迄はお姉ちゃま、日曜日だけ美月にくれないかなって?」


「美月ちゃん?」


「駄目?」


「いえ駄目っていうか」

 何かあるのかって、何か美月ちゃんの作戦に嵌まっているのか私は考えた。

 でも、これは悪い話じゃない。

 一番の懸念だった美月ちゃんが自ら私にお泊まりしていいと言ってきたのだ。

 でもこれを受ければ必然と土曜日の夜と日曜日は美月ちゃんの邪魔は出来ないって事になる。


 いいのだろうか? いやいやいくらお兄ちゃんがロリコンでも、さすがに美月ちゃんに手を出すことは無いだろう。


「わかった」

 美月ちゃんの考えは読みきれ無かった。

 でも、これで最大の難関は越えたと言っていいだろう。


「じゃあ契約成立ってことで」

 美月ちゃんはそう言うとニヤリと笑い私に握手を求めてくる。

 私はその小さな手をしっかりと握り、美月ちゃんに負けじとニヤリと笑った。

おひさ~~(=゜ω゜)ノコノハナシオボエテル?

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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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[良い点] うろおぼえ!
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