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67-1 記憶の中の妹

 

 とりあえず記憶以外に異常はないとの事で、俺は直ぐに退院した。

 病院の雰囲気は苦手だったから。


 事情は皆から簡単に説明された。


 俺は高校生で、この美少女集団は俺の通っている生徒会の一員、そして今は仕事の一環で修学旅行の調査という事で長崎に来ている。


 俺の担任だった(しかしマジですげえなこの担任、どうみても中学生だよ)ツインテールの美少女は一度中止にして皆で帰ると主張したが、俺はそれを断った。

 これが仕事ならばキチンと終わらせて欲しい、俺は大丈夫だからとそういい納得してもらう。


 そして、一人で帰れるといったが、さすがにそれはダメと俺の身内でもある妹といとこ、そしてなぜか生徒会とは関係ないと聞かされた婚約者と名乗る茜という美少女が手配した飛行機で俺たちは帰路につく。


 なぜだか飛行機に乗ると動悸と汗が止まらなかった……。


 美月という超絶可愛いいとこの美幼女はまるで子犬の様に俺にべったり甘えてくる。 それにしても可愛すぎるだろ。

 そしてもう一人、常に俺に寄り添う妹の栞、その女神の様な優しさ、美しさに俺は思わず兄妹である事を疑った。

 だって、鏡に映る俺と、この美少女に似ている所なんて全くない。

 そして栞を見る度に、締め付けられるような胸の痛が俺を襲う。

 

 兄妹なのになぜこんな気持ちになるのか……。


 ま、まさか……禁断の……。ないない、そんな漫画みたいなラノベみたいな事あるわけない。


 そんなこんなで羽田に到着する。


 栞と美月と茜の3人は空港で散々言い争い、そして自称? 婚約者の茜は渋々迎えに来た高級車で帰っていった。

 金持ちなのか? 俺の婚約者は……。



 その後べったりと俺に寄り添う二人、身内なのにこんな状態? 俺は戸惑いながらも両手に花状態で帰宅する。

 それにしても……俺って一体……あんな美少女達に囲まれていたとか、ハーレムかよ? って

そう思わざるを得ない。


 家に入るとなぜかここに住んでいたという記憶はあった。

 トイレの位置、自室の位置、キッチン、リビング、すべて思い出せる。

 でも、誰と住んでいたかは思い出せないでいた。


「とりあえず安静にしろっていわれてるから、お兄ちゃんは寝て」


「おにいちゃま私がずっとお世話するからね」

 二人の美少女(美幼女)に連れられ覚えのある部屋のベッドに寝かされる。


「大丈夫だって」


「「ダメ」」

 病人のように寝かされるので慌てて起きようとしたが、そうたしなめられベッドに寝かされ布団を被せられた。


「とりあえずご飯とお風呂と……」

 これから何をするか、栞が考えながらそう呟く。


「美月はおにいちゃまとお風呂に~~」


「あーーそうだわっすれてたあ、美月ちゃん、色々と手続きが必要だから一度帰って来いって、今日こっちでサイン会があるらしいからもうすぐ弥生さんが迎えに来る……」

 

『ピンポーン』

 栞が白々しく思い出したと言い終わる前に家のチャイムが鳴った。


「おおおお、おねえちゃま美月を嵌めたのね!?」

 チャイムの音を聞いて突如美月は動揺し始めた。


「なんの事~~」


「弥生さん?」


「私達のお婆ちゃんだよ」

 栞は迎えに行くのか、俺の部屋から出て行きながらそう言い残す。


「お婆ちゃん?」


「おにいちゃま絶対のおばあちゃんって言っちゃ駄目だからね!」


「なんで?」


「な、ん、で、も!」

 生徒会のマスコットというよくわからない役職で旅行に同行していたいとこの美月。

 年上の高校生に一切物怖じしないこの小学生はどうやら天才らしいと聞いた。

 しかし今の美月はなんだか少し緊張している。


 一体弥生さんと言う名の俺の婆ちゃんはどんな人なんだろうか?


 暫く待っていると部屋の扉が開くそしてそこには……。


「あははははははは、祐! 記憶喪失だって? あははははははは」


「え!?」

 どうみてもお母さん、いや、お姉さんだろ? って思わされる20台後半の美しい女性が大爆笑しながら部屋に入ってきた。

 

「面白いねえ、実際に見られるとは思わなかった」


「弥生さん、小説のネタになるから会わせろって……」

 小説のネタ? なんだろうネットにでも投稿してるのかな?


「祐、私が誰だかわかるかい?」


「……えっと……お婆ちゃん」


『スパーーン』

 そのアラサーの女史は持っていた書類を丸め俺の頭を叩く。


「ちょ! ややや、弥生さん! 頭は駄目!」

 栞が慌てて弥生さんを止めた。


「いや、ごめん条件反射でつい」

 年に似合わない、いや、見た目相応に可愛らしくテヘペロをする。 可愛いかよ……本当にばあちゃん?


「弥生ちゃま、ここに座って」

 美月は俺が叩かれないように少し離した場所に椅子を置いた。


「おーー美月久しぶりだねえ、すっかり大きくな……って無いねえ」


「や、弥生ちゃま!」


「この子は全部頭に栄養が吸いとられちゃうからねえ、不憫だねえ」


「の、伸びたもん!」


「そうなのかい?」


「3mm……」


「胸が?」


「胸囲なら」


「不憫だねえ……」

 わざとらしくよよよ、と泣く弥生さん……。

 そしてなにも言い返せない美月、これだけで二人の関係性がよくわかる。


「弥生さん、お兄ちゃんは元に戻る?」


「ああ、すまんすまん、まあ、私は医者じゃないからなんとも言えないけど、戻るって医者が言うなら戻るんじゃないのかい?」


「……うん」


「ふふふ、なんか戻らないと困る事でもありそうな顔だねえ」


「そ、それは……当たり前でしょ?!」


「あははは、まあ、慌てても仕方ないよ、そうそう何か衝撃を与えると戻るって昔から言うよねえ~~」


「衝撃って、さっきみたいに叩くって事?」

 俺は黙って二人の会話を聞いていたが、何か変な事を言い出し始めた。


「そうだねえ、でもそれよりも普段していた事をする方が良いのかも知れないねえ」


「普段通りの生活」

 そう聞いて俺は少しホッとした。

 普通が一番、普通最高……俺の心の中にそんな思いが存在している。



 そしてその後弥生さんは俺にいくつか質問をした。

 質問が終わると「それじゃ行こうか」そう言って美月を連れて部屋を出る。

 

「おねえちゃま、直ぐに帰って来るから変な事しちゃ駄目だよ! おにいちゃまもね!」

 美月は不安そうに俺を見つめそう言った。


「大丈夫、大丈夫、普段通り、今まで通りにするだけだからね」

 栞は二人を送りにそう言いながら部屋を出ていく。


 なんだろうか……妹と二人きなると聞いて……俺の中で不安と戸惑いと……そして嬉しさが沸き上がっている。


 なんだこの感情は……俺と妹の関係って一体……。


 

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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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