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65-3 栞のバレンタイン


 茜さん対策は今夜にでも美月ちゃんと話し合うとして、今はお兄ちゃんの欲しい物、バレンタインの贈り物の方が重要だ。


 私は気を取り直し、お兄ちゃんに聞いてみた。


「あ、あのねお兄ちゃん……バレンタインなんだけどね……今年は……その私達の特別な年だからね、サプライズよりも、何かお兄ちゃんの欲しい物をプレゼントしたいなってと思ってるんだけど……お兄ちゃん……今何か欲しい物ある?」

 私がそう言うとお兄ちゃんは箸を止めて私をじっと見る。

 なんだろう? お兄ちゃんの視線が熱い。

 お兄ちゃんは暫く私を見ながら考えていた。

 

 ……そして……何故かお兄ちゃんの顔がみるみる赤くなっていく……。

 え? な、何? どうしたのお兄ちゃん?


「い、いや……欲しい物は……ない……うん、い、今は……ないなあ」

 そう言ってお兄ちゃんは私から目を反らし、またご飯をパクパクと口に運ぶ……ううん、全然運べてない……箸が空回りしている……。


 なんだろうか? お兄ちゃんは完全に何か誤魔化している。


 でも……何? 誤魔化す理由がわからない。

 お兄ちゃんの欲しい物って何? 何でそれを聞いただけでそんなに顔が真っ赤になるの?


 なんだろうか? 言えない物? お顔が赤くなる言えない物……エッチな物とか?

 でも、それは自分で買ってるし……買えない物でエッチな物……。

 そう考えた時私はある物が頭に浮かぶ。



 ま、まさか……まさかだけど……それって……私がずっとお兄ちゃんに上げたいものと同じってこと?


 ええええ? それって……。


「ふふふふふ、プレゼントを聞くなんて……貴女ってたいした事ないのねえ~~」

 私がまさかの理由を考えていると、茜さんが紅茶を飲みながらクスクスと小バカにするようにそう言う……だって仕方ないじゃない……今回ばかりは仕方ないの……。

 

 私はそんな場合じゃないと、茜さんに構わず話を続ける。


「……ね、ねえお兄ちゃん……何もないの?」

 絶対にあるってそのお兄ちゃんの表情を見て私は確信した。

 

「えっと……それは……」

 お兄ちゃんが私の顔をじっと見つめる……その目……あるのね欲しい物が……それってもしかしたて!


「ダーリンの欲しい物もわからないなんて身内失格ね、やっぱりダーリン身内は私だけね」

 ああ、五月蠅い、二月蠅って書いて西園寺茜って辞書に登録してくれないかな?

 私が苦虫をつぶしたような顔をしていると、美月ちゃんがしたり顔の二月蠅(西園寺茜)に聞いた。


「茜さんはわかってるの? お兄ちゃまの欲しい物」


「決まってるじゃない、それは…………ふふふ、危ない危ない言わされる所だったわ」

 茜さんはテーブルから立ち上がると私の方を向いて言った。


「栞さん、どちらがダーリンに相応しいか、ダーリンの欲しい物を気に入る物をプレゼント出来るか……そうね、バレンタインの翌日のデート権をかけて勝負よ!」


「お、おい!」

 お兄ちゃんが茜さんを止めようと立ち上がろうとする……が、それを制する様に私が先に立ち上がった。


「受けて立ちます!」

 お兄ちゃんをかけての戦いに私が負ける筈はない、どっちがお兄ちゃんに相応しいかどっちがお兄ちゃんを愛しているか見せて付けて上げなければいけない!


「おーーい……栞……」


「美月も乗った! お兄ちゃまとデートデート、茜さんには負けない……」

 美月ちゃんがリベンジにと立ち上がる。


「おーーーい、美月いいい」

 お兄ちゃんが美月ちゃんに突っ込んでいるけど、ちょっと黙っててお兄ちゃんいま、それどころじゃないから!


「ほほほほ、私に勝てると思うなんて、お二人はお子様ねえ、あ、お子様か」


「あ、茜さんも同じ年でしょ」

 私は彼女を睨みつけそう言った。

 いままでどんな人でも友達になれる……なろうってそう思っていたけど。

 初めてだ、この人とは絶対に友達になりたくないって思ったのは。

 私をこんな気持ちにさせるなんて、本当にムカつく!


「ねえ、おばさん……」

 美月ちゃんが茜さんに向かってそう言った。

 ちょっと待ってそうしたら私もおばさんになっちゃう。


「な、なんですって!」

 小学生からガチにいわれてむきになる茜さん。

 ああ、さん付けで呼びたくない。

 もうこいつでいいかな……。l


「お兄ちゃまはロリコンなんだから、二人は美月に勝てないよ」


「おーーい」

 お兄ちゃんが再び横から口を出してくるけど、とりあえず全員無視をする。

 だってそれどころじゃないの、ここが勝負所なんだから!


「お兄ちゃんは私が好きなの! 邪魔しないで!」

 そう! 好きって言ったの! お兄ちゃんは私の事が好きだって!


「全て私が上だと言う事を思い知らせてあげましてよ」


「ふううう、この悪役令嬢が!」


「いや、あの、俺の意見を聞いて……」


「お兄ちゃんは黙ってて」

「ダーリンは口出ししないで」

「お兄ちゃま黙って」


「はい……はあぁ……またか……」


 お兄ちゃんへの一番のプレゼントは何か、バレンタインレースが開幕した……

 お兄ちゃんの一番気に入る物は一体何か?!


 負けない、絶対に勝つ、お兄ちゃんの気に入る物をプレゼントしてそして……お兄ちゃんとデートして……そこで私を、私の身体を、全てを、お兄ちゃんプレゼントする!



ちょうど2年前この物語を書き始めました。

そして2年経ち、今日全く同じ書き方で書き始めた作品があります(笑)


https://ncode.syosetu.com/n9516fx/

『実は義理の兄妹だったのだけど、周りは実の兄妹って思ってます。でもそろそろ限界なんだけど。』

どれくらい成長したか、それとも退化したか?(笑)

是非読み比べて見てください(笑)

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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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