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52-3 涙の学園祭


「行列が切れない……」


「お帰りなさい、お姉さま」

「お帰り~~お姉ちゃん」


 次から次へとお客様……お姉ちゃん達が帰ってくる、抽選で当たった人は撮影ブースで記念撮影をしてプリクラとそっくりのシール写真をプレゼント、外れた人はお茶を飲みながら皆のコスプレを目に焼き付けている。


 当選すると誰と撮るかを指名出来る、一番人気はやはり栞なんだが、栞の友達は敢えて違う人を選んだりしている。

 まあよく妹は友達同士でプリクラ撮っているらしいから、今回は違う人と撮りたいんだろう。


 そして栞を除くとやはり一番人気は会長だ、副会長の関与があったとはいえ、会長になる位だ人気が無い分けではない。

 元々美しい容姿の上突然金髪になり、王家の子女として学校に戻って来た。

 更にあの魔法少女のコスプレで前より親しみやすくなれば人気も出るよな……結果は2位だし……。


 因みに俺は麻紗美と一緒に殆ど厨房に居る、流石にガスは無理だったのでカセットコンロで麻紗美が調理、メニューは色々あって結局ホットケーキのみにした、但しアイスとチョコのトッピング(有料)を麻紗美が一人で作っている。


 俺は主にコーヒーをいれるのと、洗い物、まあ洗い物は妹が俺を気遣い何処からか自動食器洗い機を調達してきたので凄く楽、これ家でも使えば良いんじゃないかと妹に言うと、「お兄ちゃんの食器を機械に任せるとか嫌」との事……



「でも何で水と洗剤だけでこんなに綺麗になるんだ?」

 最近全くさせて貰えないが、前は自分で食べた食器位は自分で洗ってたけど、こびりついたご飯なんて何度洗っても取れないし、油汚れも中々落ちない時もあったのに……この食器洗い機はブラシも付いてない……


「うーーん何でだろうねぇ?」

俺が食器洗い機の前で疑問に思い呟くと、後ろでホットケーキを焼きながら麻紗美がそう言う……ああ、麻紗美に話しかけた分けじゃないんだけど、つい独り言が大きく……


「洗剤が違うんだよお兄ちゃま、はいこれ洗い物~~あとオーダー置いておくね~~」

 丁度美月が厨房に入って来た、小学生なのによく働くな~偉いな~~と美月の頭を撫でながら聞く


「洗剤が違うんだ?」

 確かによく見ると普段見たこと無いパッケージで、食器洗い機専用と書かれている。


「うん、手洗い用は汚れを剥がすのがメイン、食器洗い機は汚れを溶かすのがメインなの」


「へーー」


「食器洗い機用の洗剤を手で洗って使うと手が荒れちゃうから駄目だよ、泡も立たないしね」


「へーーーーーー」

 電化製品迄知ってるとか……美月は一体何処まで凄くなるんだ? 一般知識、法律、経済、科学や物理学、そしてこういう機械迄……ひょっとして本当に飛行機とか飛ばせたりしてな。


 前に美月が電話で話してた異世界の物語で言ってた事を少し思いだしつい笑ってしまう、あ、美月に作家の才能は無いかもな、異世界で飛行機飛ばして王宮に突っ込む所何てあり得なさすぎて笑っちゃたよ。



「ほらお兄ちゃま、ホットケーキセット何だから早くコーヒー入れて、麻紗美ちゃんがドンドン焼いてるんだよ」


「ああ、ごめんごめん」


「でもぉ、どうするのぉ? 妹の座の方は?」


「へ?」


「確かぁ、勝った人わぁ、一緒に学園祭をぉ見に行くって事じゃ?」


「あ」


「少なくともぉ、私とぉ裕がぁ抜けたらぁ厨房無理だよねぇ?、お店もぉ栞ちゃんと会長が居ないとぉ無理だよねぇ?」


「あ」


「誰を選ぶのぉ? お兄ちゃんとしてぇ選ぶのぉ? 店長としてぇ選ぶのぉ?」


「あ、ああああああああああああああ」


「お兄ちゃま、美月なら問題無いよね」


「そうだけど……うーーーーん」

 そうだよ、て言うかこの混雑時に店長が店抜けて女の子と学園祭デートとか駄目じゃん、なんでそこに今まで気が付かなかった? しかも明日は生徒以外の人も来るし……


「お兄ちゃま取り敢えず今はお店だよ! お姉ちゃま達料理や飲み物が揃ってから20分何だから、ドンドン出さないと」


「ああ、そうだそうだ」

 俺は湧いたヤカンのお湯をコーヒーの入った紙のフィルターに注ぐ。


 コーヒーも初めはサイフォンで入れるって話しだったが、流石に無理だろうとなり、コーヒーメーカーで良いという意見と、ネルドリップが良いという意見に別れ最終的に豆をその場で挽いて、紙のフィルターで入れる方式にした。


「はいお待たせ、宜しく」


「はーーい」

 美月にコーヒーを持っていかせ、俺はお店をそっと覗く。


 美月はそのままお客様……お姉ちゃん達にコーヒーを運ぶ、そしてもの凄く可愛くキャピキャピした感じで「お姉ちゃま~~お待たせ!」と言うと、「きゃああああああああ、この子誰? 超可愛い~~~ああ、この子とプリクラも良かったかもおおお」と歓声が上がる……やるな美月、因みに3位は美月だ。


 そして他はと言うと妹と会長は写真撮影をしていて、雫がプリントアウト、セシリーはテーブルを拭いていた。

 そして外からは「高橋君斎藤君また来たの? いくらメイクしたってバレバレよ! いい加減にしないと、写真撮ってクラスに貼り出すわよ!」なんて声が響き渡っている。



「皆頑張ってるな~~」


 皆頑張っている、こんなにも……俺はこの状況で妹を一人選び、明日ここをほったらかして二人で抜け出すって事?


「出来るわけ無いじゃん……どうすんだ?」


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    こちら作品の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  もしよろしかったら読み直してくださいませ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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