001-1 栞の初恋
ゆっくりした麻紗美のせいなのか、番外編の異世界物を少し書いたけど、読んだらつまらなくて出せるレベルじゃないと思ってしまったせいなのか……、1000件ブクマが付き、評価も付いたせいなのか……
栞を出すと受けがいい……?
勘違いしないでよね、べ、別に評価やブクマがほしくて栞を出す訳じゃないんだからね……
キモい前書きはこの辺にして、番外編を週明けと言ってしまいましたが、週末の予定をまるっと忘れていたのを気がつき、急遽また栞を出してなんとか笑って誤魔化そうと……
すいませんでした~~だって異世界物とか難しいんだもん
と言うことで、麻紗美との話しはおいといて、栞過去編です。ある意味番外編と言うことで何卒……
「お兄ちゃんが好き……」
いつからか分からない、私はお兄ちゃんの事が好きだった。
小さい頃、周りにはお父さんが好き、お父さんと結婚する、お兄ちゃんが好き、お兄ちゃんのお嫁さんになる……そう言っていた友達がいた……だから私もお兄ちゃんが好きで良いんだって思ってた。
でも中学生になって、そんな事を言う友達は周りには居ない、私は自覚していた……私って変な子供なんだって……
クラスの友達が好きな男子の事を言い合う、顔が良く格好いい子、サッカーの得意な子、足の早い子、勉強の出来る子、それぞれがその人の魅力的な事を言い合う、私はその話しが始まると、その場から逃げたくなる……
「ねえ、栞ってまだ好きな人出来ないの?」
「え、あ、うん……」
「本当は居るんじゃない?私達教えてるんだから教えてよ~~」
「え、本当に居ないよ……」
「本当?」
「え、うん」
「2組の子が栞の事を好きらしいよ?」
「え!へえ……」
黙っているけど、多分その子からラブレターを貰った……でも断った。
だって、私は、私の好きな人を……いまだに…………嫌いになれない…………
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小さい頃からお兄ちゃんと遊ぶのが大好き、そして遊ばない日は、お兄ちゃんの後を付けるのが楽しかった、お兄ちゃんは今日何をしてたか絵日記付けるのが私の日課……
でも、楽しくない時がある、お兄ちゃんが数少ない友達と遊んでいる時……
小さい頃はサッカーをみんなでやっていた、楽しそうにみんなと遊ぶ姿に何かモヤモヤしていた、そしてある時気がついた、お兄ちゃんが女の子と話してる姿を見た時に同じモヤモヤした気持ちになった……
これがヤキモチ、嫉妬と言う気持ちなんだと分かった。
それと同時に、自分がお兄ちゃんに対して嫉妬していると言う感情を持っている事に気がついた……
そして最近それが異常な感情だと気がついてしまった……
ダメだ、これ以上お兄ちゃんに深入りしたら戻って来れなくなる、お兄ちゃんとは結婚出来ない、恋人同士になれない、何よりそれが友人にバレたら、ううん、お父さんとお母さんにバレたら…………お兄ちゃんにバレたら……
お兄ちゃんに嫌われたら嫌だ、どうすれば……
「そうだ!、私がお兄ちゃんの事を嫌いになればいい」
子供だった私は、好きの反対を嫌いと思っていた……
お兄ちゃんの事を少しでも嫌いになれば、普通の兄妹の持つ程度の気持ちに戻れれば、こんな思いにならなくて済む、他の男の子を好きになって、普通の恋が出来る。
「よし!お兄ちゃんの嫌いな所を探そう」
私は自分のお部屋でお兄ちゃんの事を想像し、嫌いな所探しの瞑想の旅に出る。(瞑想じゃなくて妄想、そして迷走の旅です……)
まずはお兄ちゃんの容姿から……顔は可もなく不可もなく普通の人、でもメガネを掛けて少し暗い感じがする……ただ、お兄ちゃん、メガネを外すと睫毛が長くて可愛い、そしてお兄ちゃん笑った顔は凄くいとおしくなる……、ああ、お兄ちゃんの笑顔を思い浮かべるだけで、私も幸せになれる………………ってダメじゃない、嫌いな所を探してるのに!
「……えっと次は……」
気持ちを入れ換え再び嫌いな所を探す、次はお兄ちゃんの体型だ、前にサッカーをやっていたのでそれなりに引き締まってはいる、たまに間違えて、あくまでも間違えて、お風呂を……覗くけど……、太ってはいない、適度に筋肉もついていて格好いい……………………ってまただ、お兄ちゃんの裸を思いだして興奮してどうするの!
「えっと、外見はそれなりなんだから嫌いにはなれない、お兄ちゃんって結構清潔で洗濯物の匂いを嗅いでも臭くなく良い匂いだし……」
勿論シャツとか制服よ!下着の匂いを嗅いだりはしてないよ!!
でも……汗の匂いがたっぷりついていた体操着は…………えへへへへへへへへ
「は!!だーーーかーーーらーーー」
嫌いになるんじゃなかったの私!!
駄目だ、外見じゃ嫌いになる要素がない、じゃあ内面
再びお兄ちゃんを思い浮かべる。
優しい、とにかく優しい、普通お菓子の取り合いとかオモチャの取り合いとかテレビのチャンネル争いとか、喧嘩してるのを見るじゃない?、兄妹ってそんなものじゃない?
「私……お兄ちゃんと喧嘩した事も怒られた事もない……」
お兄ちゃんをずっと好きだったから、なるべくわがままは言わなかった、でもお兄ちゃんに内緒でお兄ちゃんのゲームを遊んで壊した事もある、お兄ちゃんのおやつを間違えて食べてしまった事もある、それでもお兄ちゃんは笑顔でいた、いてくれた……影でこっそり泣いて私の前ではそんな素振りも見せなかった……
凄く凄く凄く優しい、いつも私の前では笑顔でいてくれる……
困っている人を見ると助けてしまう、正義感の強いお兄ちゃん……そんな姿を見るたびに素敵と思い、そして相手にモヤモヤした、私だけ見てって…………
「駄目だ~~~お兄ちゃんの性格は完璧過ぎる、私の理想を越えているんだから、そこに嫌いになる要素なんてない……」
これじゃいけない、お兄ちゃんの事を益々好きになってしまう……
こうなったら意地でも見つけるしかない……今まで見つからなかった、ずっと見ていたけど見つからなかった。
でも!、お兄ちゃんの裏側まで見れば、必ずや嫌いになる要素がある!
今日お兄ちゃんがゆっくりお風呂に浸かる日、今まで見続けて知っている、お兄ちゃんは毎週水曜日にお風呂にゆっくり浸かる事を……
「ついに……やるしかない、私はお兄ちゃんの裏側を見る!」
お兄ちゃんがお風呂に行ったのを見計らい、私は禁断の扉を開いた!!!
お兄ちゃんの部屋という禁断の扉を!!!!




