第2話 図書館襲撃翌日
「ふぁぁ...」
とてもよく寝れたと思うのにまだ寝てたいと思わせる布団は強敵だ。
それにしても酒場の方が少し騒がしいような気がする。まだ朝だというのに早くもおじさん達が来ているのか。
いつもの従業員服ではなく私服を着て酒場へ降りていくと、珍しく険しい顔をしたお父さんがいた。
「お父さん、どうかしたの?」
お父さんに聞いたはずなのに何故か酒場に来ていたおじさん達が返事をする。
「図書館の閲覧禁止の棚から古代のまじゅつしょ?ってのが盗まれたんだってよ!」
「なんか知らねぇけど、かなりヤバいもんみたいだぜ?」
「図書館守ってたのは白から派遣された騎士だって話だぜ?よっぽど腕の立つ盗賊なんだな!」
あちこちで話し始めて混乱しそうになるが、図書館から古代の魔術書が盗まれたのはわかった。
この街の図書館は、国の中では一番大きい図書館だ。閲覧禁止の棚というのがあって、そこに置かれている本は許可なく見ることは許されない。国宝にも並ぶくらいの本が置かれているとも言われていて、白から派遣された騎士様が守っていたのだが、夜遅くに現れた盗賊に騎士様は倒されて本は盗まれてしまったようだ。
「まぁ...そういうことだ。今日は外に出るのは危ないからやめといてくれ」
本当に良くない事態みたいなので今日は諦めることにする。仕方がないので、室内でも使って大丈夫な魔術の練習をすることにした。
丁度昨日指を怪我してしまったので、そこを治癒魔術で回復する練習。
まぁ全然できない。これっぽっちも魔術が発動する気配がなくて泣きそうになる。
「なんで使えないの~...」
気分転換にでもと洗濯物を干すことにしたが、生憎天候もよろしくない。
今にも降りだしそうだ。
「昨日はとてもよく晴れてたのに~...」
バサッ!
「ひゃっ!」
突然後ろで音がして手に持っていた服を落としてしまった。
「あぁ...洗い直さないと...」
本当に今日はついていない。もう一日中寝ていたい。
それはそうと、音の原因はというと足元に本が落ちていた。
かなり古そうな本で地面に置いておくのは勿体ない。
不自然ではあるが中身が気になるので、あまり気にせずにすぐに自室に持っていって読み始めた。
が、文字が難解すぎて何書いてるのか全くわからない。見たこともない文字で頭が痛くなってくる。
「何これ...難しすぎる...ん?」
目を凝らしていると、書かれている文字とは別に他の文章が浮かび上がってきた。相変わらず読めないけど。
でも、ジーっと見てるとなんとなく意味が分かるような気がしてきて、頭に浮かんだ言葉を言ってみていたら意識が朦朧としてきたような...。
クロエはそのまま意識を失ってしまった。
2話目です。少々確認不足なので後日ある程度の修正をしたいですね。次話もよろしくお願いします。