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エピソード0~始まり~


 暗い部屋の中、そこには二つの影があった。ベッドの上に横たわる影に、もう一つの影が手を胸の上に重ねた。そのまま手を下に押すと、ズブズブと波紋を残しながら胸の中に沈んでいく。

 引き抜いたその手には、目に見えない何か(・・)が掴まれていた。立っている影はそれに自らの血を一滴垂らし、それと同時にそれに色が与えられ、目に見えるようになる。

 それは銀色で、硝子のように透き通った球体だった。影はそれを横たわる影の胸に戻し、言った。


 「終わったぞ。これで、お前も私の眷属だ。ようこそ、我が新しき家族よ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「終わったぞ。これで、お前も私の眷属だ。ようこそ、我が新しき家族よ」


 その声を聞いた俺は閉じていた瞼を開き、身を起こす。俺が寝ていたベッドの横には、異様な程に整った顔をした女性が立っていた。

 その女性の名を、俺は知ってる。当然だ。俺は彼女の家族になったのだから。


 「これから宜しくお願いします、アマテラス様」


 彼女はアマテラス。東洋の太陽の女神だ。


 ここは世界唯一の迷宮都市、セルアリア。この世界には、ダンジョンと呼ばれる物がある。

 世界に一つしかない、モンスターを産出し、有用な資源を産出する魔境。そこに数多くの夢見る者が集まり、神に祝福を受けていた。

 モンスターは手強い。神の祝福を受けなければ、到底勝てはしない。世界に突然現れた巨大な穴。そこから溢れ出すモンスターに滅びを予感していた人々の元に、六柱の神が降り立った。

 神は人々に祝福を与え、自らの眷属とした。眷属となった人々は可能性を開かれ、力を得た人々はモンスターの群れを押し返した。

 永い時をかけ、人々はモンスターの大半を穴の中へ押し戻す事に成功する。そこに、六柱の神は封印をした。二度とモンスターが溢れ出ないように、人々の平穏のために。

 だが、それでもモンスターの産出は止まらない。人々は穴の中に入り、定期的にモンスターの数を減らしていった。

 時は流れ、その風習は、形を変えて残っていた。いつからかダンジョンと呼ばれるようになったその穴に、人は夢を見た。

 ある者は資源を。ある者は戦いを。ある者は未知を。

 それが今のダンジョン。人々の夢の地。死の魔境。そこには、日々命知らずが集まっていた。


 世界に降り立ったのは、六柱の神。迷宮に挑む者は冒険者となり、そのいずれかの神の眷属となる。

 俺は決めていた。その中で眷属になるなら、アマテラス様の眷属になろうと。



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