色のついた雨
夕飯の時間になると、雨が降る。
地面が濡れるぐらいの、さあっとした雨だ。
そしてすぐに晴れる。
「ご飯をとってらっしゃい。」
ご飯は、雨上がりの水たまりの中に用意されている。
まるんとした半透明のドームの中。
手を入れると、通り過ぎる。
今日は、カレーライスだ。
「さあ、いただきましょう。」
いつからか、雨に色が付くようになった。一色の時もあれば、いろんな色の時もある。色のついた雨が降るようになってから、不思議なことが起き始めた。
水たまりから、食べ物が出てくるようになったのも不思議の一つ。同じ地域に、同じ色の雨が降っているのに、それぞれの水たまりから出てくる食べ物は全部違う。
植物の色や、水道の味も変わっていった。紫色のなすは真っ赤になったし、逆にトマトは紫色になった。桜の花が黄色になったり、道端の草はピンク色になった。
最初は、受け入れられず怪しいものとして恐れられていた変化は、そのうち皆慣れていった。