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恵方巻きの由来(疑)

作者: お市

恵方巻きは海苔業界が海苔を普及させる為に作ったらしい。

ならもしかしたらこんな話があったかもしれない。

スーパーの恵方巻き宣伝を聞いて考えたお話です。



日本昔ばなしを意識したつもりです。


むかしむかし、あるところに一人の若者がおった。


その若者はあっという間に鬼を倒せるほどのとても強い法力を持ち、そして力に飲まれることなく、努力家で博学でもあった。

そんな若者だが、周りからは虐められておった。


何故ならその若者は極度の人見知りであった。



ある日、隣の村で鬼が暴れ、若者が住む村に助けを求めに来た。

村長は話を聞き、鬼を倒しに行く者を決めるために村人たちを集め話し合いを行った。


「あの村で鬼に好き勝手されるわけにはいかん。だが、大人数で行くわけにもいかん。さて、誰が行くか」

村長はそう言い、周りに意見を求めた。


周りはざわざわと騒がしくなるが、意見を言うものはいない

 

「そうか、では我こそはと思うものは居らんか」


「はい、はい自分めが行きます」


村長の言葉に若者の後ろから声が聞こえた。

そして若者の右手が勝手に上がった。


若者が驚いて後ろを見れば、いじめっ子が自分の腕をつかんでいた。


「おお、おぬしが行ってくれるか」

村長は若者が自分の意思で挙げたと思い喜んだ。


「うえ、あ…え…」


若者は否定しようと思ったが人見知りのためうまく言葉が出ない。


「皆の者、名のりをあげた者に拍手を」


村人たちが拍手をする。こうなってしまってはもう、引き返せない。

仕方がないので若者は行くことにした。



若者が隣の村へ行ってみれば、それはひどい状態になっていた。

村人はやせ細っており、家はところどころ壊れている。


若者が茫然としていると1人の子供が若者の袖を引っ張った。

「そこのお方。助けて下さい。

鬼がもうすぐ来ます、助けて下さい」


若者がどうしようかと考えていると遠くから悲鳴が聞こえた。


「鬼が来た!逃げろ~!」


袖を掴んでいた子供は悲鳴をあげていなくなった。


少しすると鬼がやって来た。

「ん?嗅いだことのない匂いがするぞ。

お前よそ者か、飯が増えた」


鬼が血を滴らしながら若者に近づく。


若者は地面に落ちていた『種』を拾い、自分の法力をまとわせ鬼に投げた。


「うぎゃー」


鬼は苦しみ一目散に逃げて行った。


それを見て村人たちは驚き、喜んだ。


これで用事は済んだと思った若者が帰ろうとすると、一人の村人に引き止められた。


「貴方様は英雄です。

どうぞ宴をしますので、ゆっくりして行って下さい」


今までどこに居たのかと思うほどの人数が若者に群がる。

人見知りの若者にはたまったものではない。


若者は大慌てで村から逃げ出した。



若者は自分の村に帰ろうと思ったが、まっすぐ自分の村に帰るにはさっきの村を横切らなければならない。

さっきの村を横切らずに帰るにはとてつもなく遠回りをするしかない。

だが人見知りの若者にとって遠回りは宴ほど苦痛なものでは無いので、遠回りで自分の村に帰る事にした。



若者が次の村に着くと、ちょうど鬼が暴れていた。

見過ごすのも悪いと思い、若者はまた落ちていた『種』に自分の法力をまとわせ鬼に投げつけ、鬼を追っ払った。

すると、また隠れていた村人たちが出てきて宴を行うという。


若者はまた大慌てで村から逃げ出した。


若者は村に行くとまた同じことが起きそうだと思い、滅多に人が通らない山道を通ることにした。


しばらく若者は誰にも会わず、気楽に歩いていたが、

ある日、前から誰かが歩いて来た。


若者は関わらないようにしようと思ったが、前から来た人の顔を見て立ち止まった。


どういう訳か、前から来た人の口に木炭がハマっていた。


前から来た人は木炭がハマっているからか、喋れないようだ。

身振り手振りで何かを伝えようとしている様だがさっぱり分からない。


口に木炭がハマった人という、今までに見たことも聞いたことも無いものだから、若者は人見知りする前に呆然とした。


口に木炭がハマった人は呆然としている若者を引っ張り、自分が来た道を引き返して行く。


しばらく行くと急な坂になっており、そこに付いていたロープが切れておった。


若者は自分の荷物からロープを取り出しくくり付け、通れるようにした。


口に木炭がハマった人は若者に何度も頭を下げ、そのあと身振り手振りで何かを伝えようとした。


見ているとどうも、一緒に行こうと言いたいようだ。

若者は何故か目の前の人には人見知りしなかったので、この先が一本道と言うこともあり、一緒に行くことにした。


若者と木炭の人はただ黙って一緒に歩くだけであったが、若者にとっては初めてのことであり、なかなか楽しいものであった。


しばらく歩くと村が見え、木炭の人が引っ張るのでその村に行くことにした。


村に入ると村人たちが木炭の人に群がった。

「3日も帰って来ないから心配したんだよ、まったくもう。

鬼に食われっちまったんじゃ無いか何て言われてたし」

そう言われ木炭の人は頭を下げていた。


若者はそのやり取りを微笑ましく見ていた。


「大丈夫だよ」


一人の少年が小袋を持ちながら大声で言った。

「鬼が来たら種を投げたらいい」

そう言いながら少年は小袋から種を取り出し投げた。


「ぎゃ、何するんだい。人に向かって投げたらだめだろう」


どうやら少年の投げた種が当たったらしい。


「ごめんなさい。でも、種を投げたら鬼が一目散に逃げ出したって聞いたよ」


そう言いながら少年はまた投げた。


すると少年が投げた種がたまたま居た牛に当たった。

牛は驚いて走り出した。


走り出した牛は木炭の人にぶつかり、木炭の人は宙を舞った。



若者は大慌てで木炭の人に駆け寄った。

すると、木炭の人の顔がさっきまでと違う。

さっきまであった黒い木炭が無くなっていた。


「ああ、取れた。やっと取れた」

木炭の人は大喜びで若者の手を取り大はしゃぎした。


「いやー本当にあのままだったらどうしようかと思って大変だったんだ。いやー本当にありがとう」


今までずっと無言だった人が急に喋りだし、若者はまるで違う人と話している気分になり、急に人見知り状態になった。


さっきからずっと喋っている木炭の人を置いて若者は走り出し、村から逃げ出した。


木炭の人が気が付くと若者はもう居なかった。



村人たちは若者が実は木炭の人を助ける為に神が遣わした方だと思い、それを覚えて置くため、年に一度、木炭を口にはめ、無言で感謝した。


それがいつからか黒い海苔で巻かれた巻き寿司になり、無言で食すようになったそうです。




おしまい

いかがでしたでしょうか?

恵方巻きの由来って実際のところいくつか、これがもとではないかという話はあるそうですが、どれかは分からないようです。


なら自分で作っちまえと言うことで作っちゃいました。


なかなか考えるの面白かったです。


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