俺からしたら、当たり前
とりあえず、男の子視点を更新します。楽しんでもらえたらと...。(*^^*)
俺と美里が会ったのは幼稚園年長組の時だった。
俺が父親の転勤が理由で、偶然美里の家のお隣に引っ越してきたことで美里と出会ったのだ。
俺は小さいとき人見知りで、引っ越してきたばかりの時、幼稚園の皆と馴染めなくて、一週間一人ぼっちだった。
それが、変わったのは美里が声をかけてくれたからだ。
「ねぇねぇ、わたし、みさとっていうの。きみはなんていうの?」
「...おれはこのあいだ、いったぞ‼」
俺は名前を言ったのに、また聞いて、名乗ったときに聞いてくれなかったのだと、いじけてしまいそう言うと美里は申し訳無さそうにしていた。
「ごめんね、...このあいだは、かぜをひいていて、きょうひさしぶりにきたの」
「...そうなのか、おれもごめん。かぜだいじょうぶか?」
「うん!ありがとう‼だいじょうぶだよ」
「おれは、けいたっていうんだ。よろしくな‼」
「うん!よろしく」
この後に知ったのは美里がインフルエンザで、休んでいたこと。そして、隣の家に住んでいたこと。
美里と話した日、俺の母親と美里の母親が一緒に迎えに来て、一緒の方向だからと一緒に帰ると美里は隣の家に向かい、家の前で美里が振り替えって、「またあした!バイバイ‼」と家に入って行って、驚いたことを覚えている。
それからは幼稚園に行くのも、帰るのもずっと一緒で、美里が俺の家に来たり、俺が美里の家に行ったりするのが中学校まで続いた。
高校は美里が女子高に入ったため、別々になったが美里の家の喫茶店に毎日行くようになり、美里とは毎日会っていた。
高校が女子高だったためか、男の影はなく安心していた。それが美里が専門に入り、俺は大学へ行き、初めての夏休み。
夏休み数日後に俺がお風呂に入っている間に、美里が俺の部屋のベッドに寝て、雑誌を読んでいた。
夏だから、タンクトップに短パンとラフな格好だったが、タンクトップの胸元から谷間が見えていた。
「まじ、...お前は...」
「ん?なに?」
「い、いや、何でもない。...それより布団に寝るな、起き上がって座れ」
「え~いいじゃんよ~」
「ダメだ」
「ぶ~ケチ~」
「はいはい、ケチで結構で~す」
こっちは好きな子のそんな姿を見ておつかないというのに、そんな事を言うことに少し悲しくなったが、ベッドから降りて床に座ってくれたので安心した。
「で、美里が俺の家に来るの珍しいな?どうかしたか?」
そう聞くと美里はいきなり熱く語りだした。
「そうなの聞いて‼あのね夏休みに入ってから、お父さんの手伝いをしてるんだけどね、ちょうど1時になると来るお客さんがいてね、その人ね少し年上くらいの優しそうで知性的な雰囲気の男の人なんだけど、凄くカッコいいの‼もう、どうしたらいいかな?それにね、私の紅茶を飲みながら本を読んで、3時になったら「ありがとう。美味しかったよ」って声をかけてくれるんだ~」
「そ、そうなんだ。で、何がどうしよう、なんだ?」
「それは、その人が気になってるんだけどどうしようってことだよ~」
「そ、そうか。その人が誰だか分からないんだろう?親切でもあまり信用しない方が良いんじゃないか?」
美里に頑張って欲しくなくてそんな事を言ったが、美里は「え~でも~」と言っていた。
どうすれば、美里は俺の事を好きになってくれるのだろう?そんな気持ちのまま美里の話を聞いていたら、俺が疲れているのだと思ったのか、少し話してから「じゃあね」と帰って行った。
俺はそれから、その年上の男の人のことが気になってしまい、明け方まで寝れなかった。
次の日その人が1時に来ると聞いたので、同じ時間に美里の家の喫茶店に行くことにした。
喫茶店に入ったタイミングがちょうど1時だったようで、扉を開けると時計のボーンという音が聞こえた。美里はこちらを見ていて、「いっらっしゃいま...なんだぁ~圭太かぁ~」と言われた。
「こんにちはーおやっさん、なんだとはなんだ美里」
明らかにガッカリしている美里の反応は傷ついたが、とりあえず美里の親父さんに挨拶して、冗談のように美里にからむ。
「だって、昨日話した瞬間にこの時間に図ったように来るんだもん!」
「そ、それは...」
「まぁでもこの時間に来ないから、今日は来ないかなぁ~圭太なに飲むの~」
美里は少し口を尖らせながら文句を言ってきたが、それが可愛くて顔が赤くなってしまった。
ただ、俺がこの時間に来てしまったせいで、美里の俺に対する扱いが適当になっていて、少し悲しかったがそんな気持ちをごまかすように勢いをつけて言い出し「なんだ!その適当な扱いは!!俺は少し、気になったから........」と最後には勢いを無くした声しかでなくなってしまった。
そんな俺に首を傾げながらも水を出してくれて、お礼と注文をすると、美里は直ぐに準備をしだした。
そんな美里の姿を見ながら、夏祭りにどう誘うか悩んだ。そもそも夏休みに入る前からずっと誘おうとしていた。
でも、言い出せなくて、ここで言わないといけない気がして、誘ってみたらあの人を誘うと言われてしまって頭が真っ白になった。
あの人って昨日言ってた人か?今まで俺と行ってたのに...。でも、もしかしたら違うかもしれない。いや、違うと信じたい。
そんなことを考え、俺は周りを忘れて机を叩き、「あの人って昨日話していた奴か!!」と怒鳴ってしまった。
あっと思ったときには、美里に怒られてしまった。
「しー!!他のお客様びっくりしてるよ!大変申し訳ございません」
「ご、ごめん」
「も~静かにしてよね~だいたい何でそんなに反応するのよ~昨日話したじゃない、さっきの時間にいつも来るお客さんが気になってるって!」
「う、だから、昨日聞いたから、そいつを確かめに来たんじゃないか。そうじゃなくても、ほぼ毎日この店には通ってるよ」
「そうだけど、いつも来る時間違うじゃない。こんな昼間には来たことほとんどないでしょ!いつも私とお母さんが変わる夕方頃か、夜の八時頃に来るじゃない。それに何で圭太が確かめに来るのよ!!」
「そ、それは、気になったからで...」
「も~圭太に話さなきゃ良かったよ~」
美里がふて腐れてそんなことを言われてしまい、ショックだった。だからか勢いでなにも考えずに言葉が先に出てしまった。
「そんなこと、言わないでくれよ!何でこんなに気にしてるか少しも分からないのか?昨日の夜にいきなり部屋に来て、いつもお昼の一時に時計の金が鳴るのと同時に入ってくる、少し年上くらいの優しそうで知性的な雰囲気の男の人がカッコいいんだけど、どうしようって、私の紅茶を飲みながら本を読んで、三時になったら「ありがとう。美味しかったよ」って声をかけてくれるんだ~って、嬉しそうに話してるの聞いて俺が何も思わないと思ったのかよ!俺は、..俺は、美里の事が好きなんだよ!!!」
「っえ!」
言ってしまってから、自分が言ったことを理解して頭が混乱しちゃうのと、他の人もいる前で言ってしまったことで恥ずかしくて顔が熱くなっていった。
「な、何で、圭太今まで何も言わなかったし、それにそんな態度とってなかったじゃん!!」
そんなことを言われて、「今まで頑張ってきたわ」と言おうとしたら、おばさんが美里の頭をパコーンと叩き俺の代わりに「何言ってるのみーちゃん!!今まで、圭太くん凄いアプローチしてたじゃない!あれで気づかないから、どんだけこの子は鈍感なのかと思ってたけど、まさかここまでだとは思わなかったわよ!だいたい、好きでもない子を夏祭りに誘うと思うの!?」と言ってくれた。
それに美里は「いやぁ~だって、幼馴染みだから、優しくしてて、それで誘って来るのかと思ったんだもん!」と言っているのを聞いて、本気で「今までの俺報われない」と思った。
「とりあえず、みーちゃんも圭太くんも家の方に行って話して来なさい!」
「は、はい!ありがとうございます!おじゃまします!!ほら、美里行くぞ!」
おばさんが気をきかせてくれたので、それに甘えて家にお邪魔させてもらうことにして、美里の手を引いて美里の家のリビングに向かった。
「あのさ、さっきの私のこと好きって言ったの本当?」
「本当だよ!嘘言ってどうするんだよ!!」
リビングに着いた瞬間に美里に言われ、本当だと思ってもらえてなかったことに少しショックだった。
「そっか、...それって女の子としってってことなんだよね?」
「当たり前だろう!いつも色々ひたむきに頑張って、家の手伝いも嫌だと言ったことなくてむしろ進んでやってくところとか好きで、そんな好きな子がいっつも薄着でいるのを見て、理性保つの大変だったんだからな!今だって、顔赤くしていつもより可愛くて結構ヤバい」
「な!!いつもそんなに薄着じゃないもん!!今だって七分丈の長袖だよ!」
「あ~もうだめだ!」
俺が「可愛い」と言うと顔を赤くしながら照れているのが可愛くて抱きついてしまった。
「圭太、凄い心臓ドキドキいってるよ?」
「うるさい!緊張してるの!......美里、俺美里の事が好きです!大事にするし、幸せにもするから付き合って下さい!!」
美里が少し離れたときに、顔を見ながらちゃんと告白すると「それじゃあ、プロポーズみたいだよ」と言われた。もしかしたらふられるかもしれないと思いながらも、俺の願望も入って「一生離す気ないから同じことだよ」と返すと美里は顔を更に赤くした。
「美里、返事は?」
不安に思いながらも、自信があるようにそう告げると「う~、...はぃ」と声が小さくなりながらも頷いてくれた。
それが嬉しくて、美里にキスをした。
美里は顔を赤くしながらもこちらを見上げていて、俺は嬉しさで顔がにやけてしまった。
そのあと、おじさんとおばさんに見られていたようで、おじさんには拳骨を落とされてしまったけれど、最後にはおじさんもおばさんも「おめでとう」と言ってくれた。
昨日までは美里に「好きだ」と伝えられるとは思っていなかったけど、勢いも大切だなと思う。
それから俺が大學を卒業し、中小企業に就職し美里と結婚した。その一年後には美里が双子の女の子を出産した。
家でのんびりしているときに、「あのときは圭太と結婚して子供ができるとは思わなかった」と言われ「俺からしたら、当たり前の未来だった」と告げると美里は嬉しそうに笑っていた。
Fin
デート編など、書きたいと思っています。気長に待ってもらえたらと(^_^;