表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/24

第5話、一緒に入ってみん?



「はははっ、もう高校生になる()か。

道理で、こぎゃん(こんなに)大きか(大きい)訳たい」




 伯父さんが、ビールのジョッキを片手に。

ジョッキにビールを注ぎながら、そう言って笑っていた。



 ・・・



 夕方も過ぎ、伯父さんも急な仕事から帰ると。

すぐに、夕食になった。


 僕も、伯父さん家族と共に食卓の付く。


 伯父さんは、食卓の上座に座り。

伯母さんは、まだオカズを食卓に運んでいて。

姉さんは僕の正面、伯父さんの左手に座っていた。


 そして伯父さんは、食卓に付くと、早々にビールをジョッキに注いだ。


 伯父さんが、自分のジョッキにビールを注いで一口飲んだ後。




「ほら、男やろ(だろう)、飲まんね(みなさい)




 僕にコップとビールを突き出し、飲むように言うが。




「「未成年に何()言いよるとね(言っているの)!」」




 そう言うと同時に、頭上から伯母さんのお盆。

頬に、姉さんのパンチが、伯父さんに突き刺ささっていた。




 *********




「ふう〜、美味しかったな〜」




 客間に戻った僕は。

満腹になったお腹を擦りながら、独り言を言う。


 伯母さん達の制裁?により。

それから後、伯父さんが僕にビールを(すす)めることは無かった。


 そして、食事をしながら色々な話をした。



 ・・・



 伯父さんの仕事は、大津(おおづ)の方で。

精密機械の工場の課長をしているそうだ。


 (※大津:大津町(おおづまち)、阿蘇山の外輪山の麓にある町で。

熊本市から大津町付近に掛けて、半導体や精密機械の工場が集中している)


 今、工場の方は盆休みを利用して、設備を新しくする工事をしていたけど。

思い掛けないトラブルが起こって、急遽(きゅうきょ)、出なければならなくなったそうだ。


 だから、本来なら伯父さんが車で迎えに来る所を。

朝、突然、連絡があり、姉さんが市電で迎えに来たのである。




 姉さんの方は、市内でも有名な女子校の生徒で。

本来なら受験生で、受験勉強で必死になっている時期であるが。


 学校では成績優秀で、常に学年ベスト5に入る程の才女であり。

既に、推薦入学の見込みが立っているそうなので。

この時期でも、こんなにのんびりしているのだとか。




 伯母さんはと言うと、相変わらず主婦業をしているが。

時々、知り合いの店を手伝って、小金を稼いでいるらしい。



 ・・・



 そうやって、夕食時の会話を思い出していると。




「ま〜くん、良かね(良い)?」




 障子の向こうから姉さんの気配と、声が聞こえた。





「ま〜くん、お風呂が沸いたけん(から)、入るとよかよ(いいよ)


「分かったよ」




 僕が許可すると、姉さんが入るなり、そう言う。


 僕が、それに返事をしていると。




「雅人くん、もう、お風呂が沸いたけん(から)、先に入らんね(入りなさい)


「あれ、伯母さん?」


「もお〜、お母さん、私が言いに来たとん(のに)


「ごめん、ごめん」




 急に、その横から伯母さんが現れ、同じような事を言ったので。

姉さんが文句を言う。




「でも、雅人くんが()る[居る]と、思い出すとたい()ね〜」


「うん?」

 

何ね(何なの)、お母さん?」


「二人が、一緒に、お風呂さん()入っとった(入っていた)時の事()


「ぶっ!」


「お母さん!」




 突然、伯母さんがトンデモナイ事を言い出したので。

僕は噴き、姉さんは声を上げた。




「お、伯母さん・・・」


「お母さん! それは、私が小学校の高学年になるまで()やろ(でしょ)!」


そぎゃんやったっけ(そうだったっけ)?」




 姉さんが、声を荒げて抗議するが。

伯母さんは、シレッとした顔で受け流す。




「何なら、一緒に入ってみん(みる)

こん娘、昔より成長しとるけんね(しているからね)、特に胸が」


「伯母さん!」


「お母さん!」




 更にもっとトンデモナイ事を言い出したので。

僕と姉さんが同時に、声を上げた。




「もお〜、お母さん好かん(嫌い)!」


(ドタドタドタ……)


「あ〜あ、ちょっと、からかい過ぎたか()?」




 とうとう怒った姉さんが。

そう言い残して、廊下を走り去って行った。


 それを見ていた伯母さんが、バツが悪そうな顔をする。




「雅人くん、何()黙っとっとね(ているの)

あ〜、さては、あん(あの)娘の胸()想像しとったとやろ(してたでしょう)〜」


「ちちち、違いますよ!」




 呆気(あっけ)に取られていた僕に。

伯母さんが、ニヤニヤしながら、そう言ったので。

僕は、全力で否定した。




参考までに上げておきます。

Wikipedia大津町の項

https://ja.wikipedia.org/wiki/大津町


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これらの作品も、熊本を舞台にした作品です。
・思い出の海と山と彼女
・変わらない仲と変わった思い

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ