第20話、阿蘇へ行く(中)
参考までに。
米塚の項。
http://e-kumamoto.info/db/one/314.html
草千里の項
http://e-kumamoto.info/db/one/310.html
15分程度、二人で風景を眺めた後。
伯父さんたちの車に戻った。
「どぎゃんやった?」
「はい、とても綺麗でした」
「……うん、良かったよ」
「良かったやんね」
伯母さんの言葉に、僕と姉さんは全く異なる返事を返した。
姉さんは、伯母さんを見ると、恥ずかしげに俯いて言った。
しかし伯母さんは、姉さんの表情を見て、満足そうにそう言う。
……あの、僕はスルーですか?
そして、寝ている伯父さんを起こすと、車を出発させた。
*********
そうして車でカルデラの中に降り、それから中岳に向かう。
本来なら、草千里に行った後、近くにある噴火口まで行くのだが。
火山活動が活発になっている為、立ち入り禁止になっているそうである。
(※四年前('15年)の作品ですが、現在も('19.5月)また立ち入り禁止になっています)
なので今回は、草千里までに止める事になった。
「うわっ〜!」
中岳を登って行くと、周囲の風景に感動する。
果てしなく続く草原の緑と、濃い青の夏の空。
そのコントラストに、心を奪われた。
「あれ、あれは?」
「ああ、あれは米塚やね[だね]」
途中で、こんもりとした可愛らしい丘が見えた。
それを聞いた伯父さんが、その丘を米塚と言い。
大昔の噴火口後だと説明した。
・・・
「はあ〜、広いなあ!」
草千里に着くと、目の前に広大な風景が広がっていた。
地形が、広い草原の周囲を、山が取り囲んだ盆地になっており。
草原の真ん中に、大きいが浅そうな池があった。
そして、車を草千里の道路を挟んだ反対側にある、広い駐車場に止めると。
お昼の混雑を避ける為、少し早めの昼食を取ることにした。
「ま〜くん、お昼ば食べに行こう」
「うん、分かったよ」
立ち止まって、風景を眺めていた僕に、姉さんが声を掛けた。
僕は返事をして、一緒に駐車場にあるレストランへと向かった。
*********
昼食を済ませると、姉さんと二人で草千里を歩いた。
昼食を食べ終えると、伯父さんも一緒に行こうとするが。
伯母さんが。
「帰りも疲れるけん、ゆっくり休まんね」
そう言って、伯父さんを車に押し込めた。
そうして、伯父さんを押し込めた後。
「また、二人で行かんね」
ニコニコしながら、僕たちを送り出した。
・・・
こうして、草千里に二人で出た訳だが。
草千里は、夏の日差しが降り注いでいるけど。
標高が高いので、吹く風は冷たく。
それが暑い日差しを相殺して、不快に感じる事は無かった。
「ま〜くん、赤牛ん[の]所に|行こう」
草千里を歩いていると、姉さんが牛を指差して、急に言い出した。
草千里には、この時期、肥後の赤牛を放牧してある。
赤牛は、非常に大人しいので。
観光客が接近しても大丈夫なのだ。
「あ、足元に注意しないと」
姉さんが、赤牛に突進しようとしたので、注意する。
今の時期、牛が放牧してあるので。
草原には、牛のフンが落ちている事があるらしい。
注意した後、僕は、慌てて姉さんの所に向かう。
僕が追い付くと、姉さんは。
寝そべっている赤牛に接近して、じっくりと観察している。
赤牛は、一旦こちらを一瞥するが。
次に、感心なさげに向こうを向いたのである。
それでも、姉さんは満足したらしい。
こうして姉さんと、寝そべっている赤牛を。
しばらくの間、観察していたのであった。
(※米塚の写真はWikipadiaから、草千里の写真はフリー写真素材を使用しました)
'19.5現在、火口から周囲1kmは、立ち入り禁止に指定されている様です。
(参照: http://www.aso.ne.jp/~volcano/)
九州の口の悪い人間は。
草千里が牛を放牧して、牛の糞が多いので。
ク○千里と言って、揶揄してますね(笑)