第18話、一緒に入らん?
雨足が小さくなったので。
その間に、駆け足で伯父さん家に戻った。
「あら〜、ビショビショになっとるやんね。
ほら、お風呂ば沸かすけん、早う[早く]入らんね」
濡れ鼠になった僕達の姿を見た、伯母さんが。
そう言って、お風呂を沸かし始める。
僕は客間に行き、急いで着替える。
姉さんも着替える為、自分の部屋に向かった。
・・・
客間で、僕は部屋着の短パンとTシャツに着替えた。
そうして濡れた服を、二重にビニールに入れていた所で。
客間の障子が開いて、姉さんが入って来た。
「ま〜くん、お風呂が沸いたよ」
「あれ、姉さんは?」
「うん? ま〜くんが先に入らんね」
「いや姉さん、さっき振るえてたじゃない」
「ううん、ま〜くんが先に入らんね」
「ダメだよ姉さん、女の子だから体を大事にしないと」
僕の言葉に、ハッとした姉さんが僕を見ていた。
「まさか、一緒に入る訳にはいかないから。
姉さんの方が、先に入ってよね」
「……じゃあ、ま〜くん、一緒に入らん?」
「えっ!」
僕が冗談で言った所。
姉さんが突然、想像もしない事を言い出した。
「……母さんは、買い物に出とるけん、多分、分からんよ。
だけんがら……」
ねえさんが、遠慮がちに言って来る。
何だか、このまま行ったらトンデモナイとこまで流されそうので。
僕は、開いたままの障子から風呂場の脱衣所まで、姉さんの背中を押し。
そして、脱衣所のドアを閉めた。
「ほ、ほら、シッカリ温まらないと……」
「う、うん……」
恥ずかしさを堪えるように、僕が慌てて言うと。
姉さんが安心した様な、ガッカリした様な声で返事をした。
*********
姉さんが入った後、僕もお風呂に入る。
そうして風呂から上がる頃には、伯母さんも帰っていた。
僕は、風呂から上がると居間でくつろいだ。
一方、姉さんは、台所で伯母さんの手伝いをしている。
それから夕飯が出来上がる頃、丁度、伯父さんが帰ってきた。
・・・
夕飯を済ませ、みんな居間でくつろぐ。
そんな中、伯父さんが突然言った。
「ああ、明日、無理やり休みば取ったけん」
何でも、まだトラブルが続いているけど。
親戚が来ているから、休ませて欲しいと言って、無理やり休みを取ったらしい。
「雅人、明日、阿蘇さん連れに行くけんが」
と伯父さんが、そう言ったのである。
そんなわけで、翌日はみんなで阿蘇に行くことになった。
*********
「……」
「……」
二人は布団の中で、身じろぎもせず、黙っている。
今日もまた、姉さんが客間にやって来て。
僕の布団に入り込んだ。
しかし今日は、前の日とは様子が違っていた。
「ねえ、ま〜くん、甘えても良かね?」
姉さんが、僕の入っていた布団に入ると。
そう言いながら、くっ付いてきたのである。
その時の姉さんは、熱を帯びた視線で。
甘く囁く様に言うので、僕は、否応なく頷いた。
それは、先ほどまで起きてた時もそうだった。
二人で並んで、TVを見ていたが。
殆ど喋らず、時々、隣の僕を、熱い視線で見詰めていた。
・・・
昨日は、恥ずかしがって手を繋いでいただけの姉さんが。
今日は、僕の胸に頭を乗せ、頬を押し付けている。
仰向けに寝ている、僕の右脇に体を入れ。
その状態から、僕の胸に頭を乗せていたのだ。
僕は、姉さんが楽になるように、背中に腕を廻して固定していた。
だが姉さんは、ただ頬を押し付けているだけでは無く。
時折、感触を確かめるように頬を動かしたり、手の平で胸板を撫でたりもしていた。
「ねえ、緊張しとるとね……。
何か、心臓がドキドキしとるとが聞こえるけんが……」
そう言って、僕の胸に頭を乗せていた姉さんが、小さく笑う。
確かに僕は、緊張していた。
姉さんの、その色っぽい仕草だけでなく。
姉さんが、僕の上にのし掛る様に寝ているので。
姉さんの、大きな胸が僕の体に押し付けられる形になっていた。
しかも、姉さんは寝るときブラをしない派らしく。
柔らかい膨らみの感触が、直接感じられるのだ。
こうして僕は、眠りに付くまで。
胸板に感じる姉さんの手と、頬ずりの感触。
そして、体に感じる柔らかな膨らみの感触に、悩まされたのであった。