第1話、思いでの場所
どうも、獅子丸です。
始めての方は、始めまして。
ご存知の方は、お久しぶりです。
この話は、舞台が市内(熊本市内)でありますが。
出てくる方言は、玉名以北の地域の言葉で。
場合によっては、熊本弁の範疇に入るか、微妙な地域の言葉ですので。
その事を、ご了承してください。
また、表現も少々誇張している上、正確かどうかも保証できませんので。
それも、ご了承ください。
夏休みも後半を過ぎた、お盆の時期。
(〜♪♪)
僕の名前は、古閑 雅人。
今年、高校に入ったばかりの一年生である。
今、僕は新幹線に一人で乗りながら、音楽を聞いていた。
僕は現在、父方の田舎の熊本に向かっている所である。
福岡空港まで飛行機で行き、そこから地下鉄で博多駅まで乗り継いで。
博多駅から新幹線の乗っていたのだ。
なぜ熊本空港まで行かないか? と言うと。
便数が圧倒的に、向こうが多いので。
特に、盆などの混雑時にはチケットの取れ易さが違うのと。
熊本空港は、少々、不便な場所にあるので。
ちょっと使い辛い所があるからだ。
だから、場合によっては、熊本の人間でも。
福岡空港を利用する事があるそうだ。
・・・
本来なら、両親も一緒であるのだけど。
突然、母方の親戚に不幸があったので。
急遽、そちらの方に出なければならなくなった。
なので、こちらの方には事前に連絡した事もあり。
また、向こうの方は、両親だけが出れば良い事もあって。
こちらの方には、僕一人が向かうことになったのである。
「(どうせなら、つばめに乗りたかったなあ)」
折角、九州に来て、新幹線に乗るのなら。
あの、800系つばめに乗りたかったけど。
あれは、こだまみたい物だから、時間がチョット掛かってしまう。
と言う訳で、今乗っているのは、つばめではない。
でも、700系さくらだと。
気分的に、のぞみと余り変わらないんだよなあ・・・。
・・・
「(もうすぐかな?)」
もう少しで、熊本駅に着くかと思われる頃。
僕は降りる準備をしながら、ふと窓の外を見てみた。
「は〜っ、変わったなあ〜」
車窓から見える景色を見て、思わず、そう呟いてしまう。
なぜなら前に見た風景とは、大分変わっていたからだ。
特に、前には見なかった建物が、いくつか見える。
もっとも、その時は、まだ新幹線も通っていなかったので。
下の鹿児島本線を通ったのだけど。
それを差し引いても、大分変わっていたのだ。
明らかに、周辺の開発が進んだ印象を受けたのである。
「(さてっと、急がないと)」
混雑した車内を急いで出ないとイケナイから、手早く降りる準備をしないと。
記憶にあるのとは、変わってしまった風景を見ながら。
僕は、降りる準備をした。
*********
「は〜っ、付いた!」
新幹線が駅に着くと、冷房が効いた車内から急いで車外へと出た。
「うわっ、あっつ!」
外に出ると、ムワッとした蒸し暑い空気に包まれる。
相変わらず、暑いなあ。
タダでさえ南国な上、盆地だから夏暑くて、冬寒い。
外に出て周囲を見ると、流石に帰省の人間で混雑していたが。
最近は分散化傾向にあるのか、記憶に有る程、出入り口で詰まらなかった。
カバンを持ち直し、人の流れに乗り何とか駅のホームに出た後。
熱い空気の中、改札口へと向かう。
改札を出て、人の流れに乗ったまま駅舎を出ると、少し先に市電(市内電車:路面電車の事)の乗り場が見える。
そちらの方に少し歩いた所で流れが緩くなったので、振り返り駅舎を見た。
熊本駅の駅舎は、一見したところヨーロッパ風のデザインに見えるが。
何か、書き割りで建物を誤魔化して様に見えるのは、僕だけだろうか……。
「おととっと」
駅から向こうに向かう人の流れの途中で、立ち止まったらイケナイなあ。
僕は慌てて前を向くと、目に飛び込む強烈な陽の光の中。
急いで、電停(停留所)の方へと向かった。
・・・
電停に着くと、そこは既に帰省の人間でごった返していて。
みんな、蒸し蒸ししている場所で、次に来る電車を待っていた。
僕もその中に入り、カバンを地面に置き、立ったまま電車を待つ。
熱い中、立ったままボンヤリしつつ、昔の事を思い出していた。
「(姉さんと合うの、久しぶりだな〜)」
姉さんこと、古閑 美鈴。
僕の従姉に当たる、二個上で、今年、高校3年生の女の子である。
僕は、ここの事を思い出すと、いつも姉さんの姿が出てくる。
・・・
記憶の中の姉さんは、僕に手を振って、呼んでいた。
「ま〜くん、来んね[おいで]!」
姉さんを見た僕は、姉さんの方へと駆け出す。
(パタパタパタ……)
「お姉ちゃん〜!」
「ま〜くん〜!」
(ギュっ!)
僕は姉さんに、飛び込む様に抱き付くと。
それに応えるかの様に、姉さんが僕を抱き止めてくれた。
「ま〜くんは、ほんなこつ《ホントに》、可愛かね《可愛いね》〜」
(なでなで)
そして、甘い熊本弁でそう言いながら。
僕をハグしつつ、頭を撫でてくれた。
この様に、姉さんはとっても優しく
僕を、いつも可愛がってくれたので。
伯父さん家にいる間じゅう。
僕は、いつも姉さんにくっ付いていた。
・・・
それから夜になると、一緒の布団で寝たりもした。
寝る時も、姉さんはいつも僕を抱いてくれたのである。
「ま〜くん、暑くなか?」
「大丈夫だよ」
姉さんはそう尋ねるが。
僕は、姉さんの感触が気持ち良くて、つい大丈夫だと答える
僕がそう言うと、次に背中にとても心地よい感触を感じた。
姉さんが、僕の背中を撫で出したのだ。
(なで〜なで〜)
「ま〜くん、気持ち良かね?」
(……コク)
気持ちの良い姉さんの手が、僕の背中を滑る。
尋ねてきた姉さんに、僕は頷いた。
それに満足したのか。
姉さんが今度は、手を軽くトントンと叩き出した。
僕の背を叩く振動が、心に染み込んで来て。
思わずウットリとしてしまう。
背中を叩く、振動の心地良さに。
僕はいつも、姉さんに抱かれたまま、眠りに落ちるのだった。
※この回で使用している写真は、Wikipediaより転載した物です。
また駅舎は、地震より以前の話なので、出来るだけ改装以前の物を使用しています。
熊本駅に、馴染みの無い方の為に。
参考までに、Wikipedianの熊本駅の項を上げておきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/熊本駅
後、熊本市の項も上げておきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/熊本市
かく言う、私(作者)も市内に出る時は。
もっぱら上熊(上熊本駅)を利用して、熊本駅の方は余り利用しなかったので。
急いで、ネットで調べました。