クレヨンとはと
冬の動画祭り用のネタだったが短かすぎた。
ぼくは毎日、画用紙やチラシのうらに、お気に入りのクレヨンで絵を描いています。
クルマ、おふね、ひこうき、ロケット、電車。
ぞう、キリン、くじら、牛、ライオン。
お父さん、お母さん、そしてお兄ちゃん。
ちょっと自分でもへたくそだとおもうけど、絵をかくのが好きだから、毎日描いています。
ぼくのお兄ちゃんはとてもじょうずに絵を描く。
ある日お兄ちゃんは、みんなにはひみつだよ、と言って、かっこいいロケットを僕のがようしに描いてくれました。そのロケットは画用紙からとびだして、青い空に大きなひこうき雲を描いて、とおくまでとんでいきました。
お兄ちゃんは車を描くと、その車はへやの中を走りまわったし、電車をかくと、がたんごとんと大きな音をたててレールの上を走りだしました。
ぼくはこうふんして、お兄ちゃんに、どうすれば本ものみたいにとびだす絵をかけるの、と聞きました。
お兄ちゃんは、動け、動け、とお祈りしながら描くんだよ、と言いました。
いっしょうけんめいぼくは、お気に入りのクレヨンでロケットの絵をかきました。
でもぼくの描いたロケットは、すぐに落っこちてしまいます。
でも、あまりじょうずじゃないせいなのかな。
ぼくはお兄ちゃんに聞きました。
ぼくの絵はとびだすようになったんだけど、すぐに落っこちちゃうんだ。どうすればお兄ちゃんの描いた絵みたいにとおくまでとんだり、走りまわったりできるの?
お兄ちゃんは言いました。
描きたいものの気持ちになって描くといいんだよ。
ある日、僕は運動場のすみっこにけがをしたはとを見つけました。
先生に言うと、先生ははとのケガをなおして、とべるようにしてあげましょうと言いました。
そのはとは校庭のすみにあった動物用のおりに入れられ、ケガがなおるまでクラスのみんなでせわをする事になりました。
ケガは一週間くらいでよくなりました。でも、ケガがなおってもなかなかうまくはばたけずに空をとべるようになりませんでした。
ぼくはあのはとが元気になって、早く空ををとべるようになってね、といのりながら、はとの絵を描きました。
でもぼくの描いたはとは、画用紙からとびだしてきませんでした。
その晩、夢の中にぼくの描いたはとがでてきました。
そのはとは僕に言いました。
ありがとう、君がいっしょうけんめいにぼくを描いてくれたおかげでとべるようになったよ。
え、でもじょうずじゃないからすぐに落っこちちゃうかもしれないよ、とぼくは泣きそうになりながらいいました。
けれどもはとは笑って、だいじょうぶ、明日ちゃんと飛ぶから見ててよ、と言って、ぼくの目の前でばたばたと力強いはばたきをしました。
次の日、鳥かごからはとをかかえて、青空に放してあげました。
すると、はとは元気よく、お兄ちゃんのロケットみたいに、いきおいよく飛んで行きました。




