続・転生の日
レイアと合流した俺たちは、襲撃を受けているフォス様のもとへ急ぐ。
ここまでの流れがもうかなりゲームと違うため、先を読んだ行動ができない。
少しの判断ミスが死につながるかもしれない。
本来のマホロバのオープニングでは、
園遊会会場が襲われ、第八王女は死亡、ほかにも何人かの王族が犠牲になっていた。
襲撃者たちは、レイアを筆頭とした騎士隊の奮戦があって全滅。
レイアは氷剣となりそのまま第八王女エイテの姉の第四王女フォスの陣営に所属する。
このあたり明示されてなかったせいで、レイアは元々フォス様の部下だと思っていたが、違うようだ。
そう考えるとこの襲撃で最も得した人物は第四王女?いや、考えすぎか?
フォス様が退避した施設の近くまで来た俺たちが見たものは、
そこは守備兵と魔物たちが争う混乱のただなかであった。
「少しばかり敵の数がおおいですな……」
ハンゾーが状況を確認し、言葉を切る。迷っているのだろう。
エイテのことを考えると確かに、ここで撤退することも選択肢の一つだ。
敵の流れがあまりにも途切れなさ過ぎる。
「この魔物の数、近くにゲートがあるはず。それを叩ければなんとかできるはず」
ゲームでは王都付近に魔物は存在しない。
ゲートと呼ばれる転移装置から魔物を運んできている奴がいるはずだ。
「お前が誰かは知らんが、魔物が来ている元を絶てばいいのだな?」
「それはそうなんだけど、それがどこにあるのか…流れ的に向こうに見えるどちらかの建物だと思うんだが――」
「あっちだ!」
「なんでわかるんだよ」
「魔物臭が濃い!」
魔物の群れを蹴散らしながら、指さした方へ突撃していくレイア。
やっぱりこいつ犬かも。いや犬だろ。犬。
「レイアが失敗したら、撤退しましょう」
「分かった。じゃがレイアは失敗しないと思うのじゃ」
「どうしてお分かりになるんです?」
「勘じゃ。じゃけどこの勘はようあたるぞ」
にやりとしたエイテは少女と思えないほどの凄みを持っていた。
王族のカリスマとかいうやつだろうか。
実際にレイアが突っ込んでから魔物勢いが弱くなってきた。
敵の流れをとらえられれば、フォス様のところに合流することができそうだ。
ハンゾーが謎の怪しい爆発物を使い隙を作り、一斉に突撃した。
守備兵たちもそれに合わせて門を開き合流することができた。
「っう」
門の中は負傷兵と死者であふれていた。
「エイテ!よくぞ来てくださいました!」
「姉上無事でよかったのじゃ」
「無事というほどいい状況ではありません。叔母さまがお亡くなりました。
ほかにも一族の者が何人か…」
第四王女が黒幕かと一瞬思ったが、どうやら第八第四の一族がまとめて狙われたってのが真相っぽいな。
こんな大規模なことができるのは相当限られた人間のはず。
ゲームではほかの王女候補が犯人だったはずだが、それにしてもかなりの権力を持っているんだろう。
「ところでそちらのお方は?」
「こちらはコーメイ殿じゃ、我らの窮地を救っていただいたのじゃ
今も冴えわたる機転によりレイアを使ってこの状況を打開してもらっておる」
「これはこれは状況が状況だけに大したおもてなしもできず、申し訳ございません」
「いえお気になさらず、いと気高きお方々に奉仕することは誉でございますゆえ」
このあとのことをざっくり説明しよう。
それからすぐ、レイアは颯爽とゲートを破壊し帰陣、エイテに尻尾を振っていた。
数時間が経ち、戦場が落ち着いたところで、エイテとフォスは軍勢を再編し、他の王女たちとの合流を優先した。
やはり、ほかの姫たちの勢力は、ほとんど被害を受けていないように見えた。
現場としては王都軍が合流し、戦後処理と残敵の警戒を行った。
姫たちは自身の拠点である王宮にそれぞれ戻っていった。
政治的な嗅覚が異常なフォス様は、ここでの一手が命運を分けると察したのだろう。
襲撃により一族の力が削られたことを理由に、王位継承戦の第一線から身を引き、
エイテ様を一族総出で後援することを、だれに相談するでもなく喧伝し始めた。
俺はというと今回の功で、エイテ様にお引き立ていただき軍師の任を頂くこととなった。
その際、フォス様からも異常に熱い後押しを受けた。
当然、何度か逃げようとしたが、ハンゾーに都度捕まった。
「此度の我らの命をお救い頂いた功、および戦場での神算鬼謀をもって、
コーメイ殿を我が軍師として任命する」
まだどうにかならないかと逡巡しているとレイアが肘でどついてくる。
馬鹿力で折れるぞ(俺のあばらが)。
「ありがたき幸せ。軍師の任、拝命いたします!」
他の王女の中で怪しい人間は相当絞られている。
特に、ゲームでジョーカーとなった際に難易度が異常になる3名。
まず一番怪しいのが、園遊会全体を仕切っていた奴だ。
それは、全てにおいて非がなく、もっとも王にふさわしい者、王道、最優の第一王女。
次点は、会場やゲートが設置された建物を自由にできた奴が怪しい。
それは、経済観念に優れ卓越した政略眼を持つ、政道、最賢の第二王女
そして、兵の動きを誘導し、被害をコントロールできた奴。
武勇にすぐれ、王都軍のシンパも多い、王国最高戦力、覇道、最強の第三王女
(ちなみに第四王女は最恐の王女といわれており、こいつがジョーカーになるとほぼ詰む。
この世界ではおそらくだけどそれはなさそうで安心している。)
第五以下が犯人になる可能性もあるが、そんな簡単なことにはならないんじゃないかと思う。
俺が生き残るために、だれが犯人か見極める必要がある。
絶対に死なない。まだハーレムルートの可能性だって、ゼロじゃない。




