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2/7

最強軍師の道

まずい。完全にやらかした。いや現在進行形でやらかし続けている。

俺は、自室で頭を抱えていた。

この世界、「マホロバ」は数々の死亡フラグが襲い掛かってくるゲームだ。

特に今片足を突っ込まされている最強軍師ルートは、難易度が高い。

特に難度が高い理由のひとつが、7人の王位候補(ゲームでは第8はすぐに脱落する)のうち、

誰かがランダムで、国を裏切るジョーカーとして選ばれることだ。

このルートで生き残るには、自分が付いた姫を勝ち上がらせると同時に、ジョーカーを見破らないと国が滅んで全員が死ぬ。

そして、ジョーカー次第では難易度が地獄になる。リセマラなしでは無理なレベル。

さすがに生身でリセマラはきつい。

そんなわけで、軍師ルートからは早くおさらばしないといけないってわけなんだ。


ただノーヒントでジョーカーを割り出せというほど鬼畜ではないところがまだ有情ではある。

ゲームではジョーカーを当てた後、“自白コーナー”で『第8王女を殺した』と犯人がゲロる。

つまり、俺が、のじゃロリと出会ったあの事件で、エイテを殺そうとした犯人を見つけられれば、それがジョーカーだというわけだ。

このヒントはかなり大きい。

今後の俺の指針が決まった。

① 可能であれば軍師の任から逃げる

② 逃げ道探しと並行して、ジョーカーを探る

これだ。

高度に柔軟な戦略目標といえよう。完璧だ。最強軍師も案外イけるかもしれん。

この時俺は、第八王女を助けたことでジョーカーの策謀を止めた今、敵さんから世界で最も邪魔な男だと認識されていることに全然気づいていなかった。


「エイテ様」

「レイアかどうしたのじゃ」

「コーメイ様はその本当に信頼できるお方なのでしょうか?」

「先ほどもお部屋で、独りぶつぶつニヤニヤしておられましたし…」

「まだ監視をしておるのか…まあほどほどにの。コーメイ殿は結果を出しておる。

出自が怪しいにしろ必要な人材じゃ」

「申し訳ございません。差し出がましいことを申し上げてしまいました」

「コーメイ様が不要ならば私が頂戴して帰りますわ。」

「姉上まだおったのかの。本当に差し出がましい話はしないで欲しいのじゃ」

「まあ!実の姉になんてひどいことを…よよよ……」

「まあ冗談はこのくらいにして帰りますわね。

それはそうと、宮殿の外周でまた死体が出ましたわ。

暗殺組織がその辺をうろうろしてるようなのでお気をつけあそばせ。

特に噂の軍師様は皆の意中のお人でですわよ。おほほ」

「……え」

「エイテ様、私、フォス様が怖いです」

「それは、奇遇じゃな……」


夜、宮殿が寝静まった後、

「とはいえまあ、いったんお暇させていただこう」

「まだ、最強軍師ルートに確定したわけじゃないし、

あのルートは敵姫の警戒心レベルがMAXにならないと発生しないわけだから…」

俺が希望的観測をブツブツと言いつつ、宮殿から抜け出して夜の庭園から街に抜け出そうとしていた。

「コーメイだな、誅殺させてもらう」

暗殺者の集団に遭遇した。というか俺を待ち伏せしてた感じだなこれ…

どうやら最強軍師ルートに入っていないってのは気のせいだったようだ。

バチバチで警戒心マックスだろこれ!

敵の隊長っぽいのは結構人気の暗殺者キャラだな。名前がないけど顔グラが良すぎて覚えてる。

だから最初の一撃は何とかよけられるはずだ。

「おいおい誅殺とかいうと、どっかのやんごとなきお方が黒幕だってわかっちゃうぜ。第何王女様ですか?」

「ッここで死ぬ貴様には関係のない話だ!」

「おーおーよく吠えて。お前らみたいな野良犬使うくらいだから、さぞ臭い姫だろうな」

オタク文化で鍛えた嘲笑冷笑を全開にして、相手を煽る。

冷静さを失わせて、初手の行動を制限する。


「き、貴様…」

「飼い主をバカにされて怒ってるのか?案外、忠犬なんだな。ほら、お手してみろ」


「…ッ」

袈裟懸けの一太刀をぎりぎりでよけた俺は、死に物狂いで叫ぶ。

「ハンゾー!!レイア!!!俺を助けろーー!」

「はっ何をいまさら命乞いkあ」

気を抜いて余計なことを喋った奴の頭がレイアにぶっ飛ばされる。

「安心しろ峰打ちだ」

鋼の棒で吹っ飛ぶくらいぶっ飛ばしておいて峰打ちもくそもないだろうが…

「コーメイ殿はどうして我らがいるとお分かりに?」

ハンゾーが敵を昏倒させながら問いかけてくる。

「いや、分かってはない。あのタイミングで一番分のいい賭けをしただけですよ!」

頭に向かって飛んでくる暗器をよけながら叫ぶ。


「それに私に、監視をつけて無いようなレベルの勢力であれば、遅かれ早かれ、死ぬだけですしね!」


ギリギリでレイアの攻撃を躱した暗殺者が近づいてくる。そいつが繰り出す一撃を、地面に転がりながらよける。


「体育4の成績がここで役に立つとはな……!」

実際のとこ、ちょうど逃げ出すタイミングだったから、もしかして監視がいるんじゃと思って叫んでみたら、本当に居るんだもんなあ悲しいぜ。

武力が二人で二個聯隊分くらいある救援が来たおかげで、暗殺者の集団はもう誰一人として立っていなかった。

「それはそうとコーメイ殿はこんな夜更けに何を?」

「まさか姫を置いて出奔などは…?」

「お二人ともそんなわけはないでしょう。周りの姫たちの動きがきな臭くなってきたので探っていたまでですよ。ははは」

よし順調に嘘のレベルがあがっているな。めきめき経験値ゲットできてるわー

「まあいいでしょう。コーメイ様は他の勢力から狙われておるゆえ、お一人での外出は避けるのが良いかと思いますぞ」


やばい、逃げられない、最強軍師くそルートも始まってることが確定してしまった。

こうなったら、ジョーカーを早く暴いて潰さないと、ダメかもしれん。

なんでこんなことになってしまったんだ。

俺はただゲーム知識を使って、美女とイチャイチャチュッチュハーレムで平穏な日常が送りたかっただけなのに。

現状は、俺がロリコンだったらまだよかった。だけどそうじゃない。あのチンチクリンには姪っ子に対する情くらいしか湧いてない。

そもそも、ゲームには登場しない第八王女とかいう不確定要素に付いてしまったことが、何よりの問題だ。

なんで、あの日あの時、普段出さないような無駄な”親切心”ってやつを出しちゃったんだろうか。

黒幕は“第8を殺す”より先に、俺を殺しに来た。ちゃんと障害物認定してくれているようだ。ありがたくない。

暗殺者集団を縛り上げ、拷問を開始しているハンゾーとレイアの横で俺は頭を抱えるのだった。

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