底無しの穴蔵
「異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由」完結後、次の作品の途中で登場するキャラの物語です。
メインの更新を優先するため、こちらの更新は不定期、下手したら年に1回あるかないかの更新になるかもしれません。
気長〜に更新を楽しみにしていただけると嬉しいです。
ソレは迷宮の奥深くに居た
戦い、進み、戦い、進み
ガシャン、ガシャンと足音を響かせ
前へ、下へ、前へ、下へ
迷宮の奥へと気の遠くなる程の時を歩み続け
ついにソレは、目的を達した
魔物と戦い、敗れたものに訪れる、死
遺骸は魔物に捕食され、装備や道具もやがては迷宮に飲み込まれる
ここは『底無しの穴蔵』
未だ誰も踏破したことがない、多くの迷宮学者を悩ませている初心者向けの低級ダンジョン
進めど進めど低ランクの魔物ばかりが出現し、ドロップ品はクズばかり
しかし過去には世界でも類を見ない規模の国をあげての大規模迷宮攻略が行われ最高到達深度614階層を記録した、世界でも類を見ないほど様々な寓話を生み出してきた謎多きダンジョンである
大規模な迷宮攻略の目的は『神の奇跡』
人の手では精製不可能とされている伝説級のアーティファクトに分類されるポーション
傷や病気を治すだけでなく、寿命までをも10年若返らせる
まさに『神の奇跡』の名に相応しいレアアイテムを産出する…ことがあるのだ
それも1度だけではない
数百年単位ではあるが、『神の奇跡』のような伝説級のアーティファクトが何度も産出されている
『神の奇跡』は記録に残っているだけでも4度、『底無しの穴蔵』から産出されているのだ
『神の奇跡』は世界各地の迷宮で産出したという伝承が残っているが、1つの迷宮から2つ目が産出したという記録は『底無しの穴蔵』を除いて存在していない
それもまた、迷宮学者を悩ませる種の一つとなっているのだが…
今日も今日とて大きな期待と少しの不安を携えた新人冒険者達が軽快な足音を響かせ入口を潜る
ここはその名を知らぬ者のいない世界屈指の大迷宮
未だ誰も踏破したことのない初心者向けの低級ダンジョン
『底無しの穴蔵』




