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第9話:メガネの限界

紙様との戦いでバイブレードを覚醒させた遊佐麻呂、筋川世之介、嘉門なでこの三人。


だが、勝利の余韻は短かった。


街はさらに無気力に覆われ、麻呂のメガネは紙様の妨害で視界が乱れる頻度が増していた。


なでこのアジトで、麻呂はメガネを外して頭を抱える。


「くそっ、俺のメガネ、紙様のせいでマジで見えづらい! 30年のエロ動画鑑賞で鍛えた視力が泣いてるぞ!」


世之介はテンガを握り、豪快に笑う。


「ゆさまろ、泣くな! 俺のテンガだって20年魂をぶち込んできたんだ。メガネも気合いでパワーアップしろ!」


なでこはパソコンを叩きながら冷静に言う。


「紙様の妨害は、欲望エネルギーを逆利用してメガネの視界を歪めてる。私のバイブレードも、充電が追いつかないと維持できない…」


その時、なでこのパソコンに不気味な映像が映し出される。


ペラペラの紙様が、禍々しい笑みを浮かべる。


「人間どもよ、貴様らの道具は我が神の力の前では無力だ。次の刺客で、欲望を根こそぎ喰らう!」


画面が暗転し、アジトの外で爆音が響く。


現れたのは、黒い蚊を超える巨大な「赤い蚊」。


翅は炎のように揺らめき、口吻はレーザーのような光を放つ。


「なんだこれ、蚊じゃなくて兵器じゃん!」


麻呂が叫ぶ中、世之介がバイブレードを構える。


「ゆさまろ、紙様の位置を!」


だが、麻呂のメガネは完全に乱れ、紙様のUFOを捉えられない。


「くそっ、視界がぐちゃぐちゃだ!」


赤い蚊の攻撃は苛烈で、世之介のバイブレードも弾かれる。


なでこが叫ぶ。


「テンガマン、私が充電する!」


彼女はバイブを起動し、バイブレードを輝かせるが、赤い蚊の装甲はさらに硬く、振動だけでは貫けない。


絶体絶命の中、麻呂はメガネを握りしめ、叫ぶ。


「30年…エロ動画で鍛えた集中力、負けるかよ!」


彼は目を閉じ、深呼吸。心の中で無数のエロシーンがフラッシュバックし、視界がクリアに。


「見えた! 紙様のUFO、左上200メートル!」


世之介が吼え、バイブレードで赤い蚊を斬り裂く。


さらにUFOに突撃し、一撃で破壊。


紙様はまたしても逃亡するが、その声が響く。


「次は貴様らの心を折る…!」


戦闘後、麻呂は倒れ込む。


「…メガネ、限界だ。なんか、俺の目までおかしくなりそう…」


なでこが心配そうに言う。


「ゆさまろのメガネ、紙様の妨害で壊れかけてるかも。私もバイブレードの充電で心が…」


世之介が笑う。


「ハハッ! なら、もっと魂をぶち込むしかねえな!」


だが、麻呂のメガネに微かなひびが入っていることに、誰も気づかなかった。


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