第8話:バイブレードの覚醒
黒い蚊の襲撃から数日。
麻呂のメガネはますます不調で、紙様のUFOを捉えるのが難しくなっていた。
「くそっ、30年のエロ動画鑑賞で鍛えた視力が…!」
麻呂が嘆く中、なでこは新たな情報を掴む。
「紙様の妨害は、欲望を吸ったエネルギーでメガネの視界を乱してるみたい。私のバイブも、このままじゃ限界が…」
世之介はテンガを握り、力強く言う。
「なら、俺たちの魂のアイテムを進化させるしかねえ! テンガもバイブもメガネも、もっと深い絆でパワーアップだ!」
「絆って…何だよそれ!」
麻呂が突っ込むが、なでこは静かに頷く。
「母の形見のバイブ…まだ秘めた力がある気がする。私、試してみる」
その夜、街の中心部で異変が起きた。
空に巨大なUFOが出現し、黒い蚊の大群を率いる紙様が姿を現す。
その姿はこれまでより鮮明で、ペラペラの体に禍々しいオーラが漂う。
「人間どもよ、欲望を全て喰らい、滅びの時を刻め!」
黒い蚊の大群が襲いかかり、世之介の巨大バイブも歯が立たない。
「くそっ、こいつら硬すぎる!」
麻呂はメガネで紙様を追うが、視界がさらに乱れ、頭痛が襲う。
「ゆさまろ、踏ん張れ!」
世之介が叫ぶ中、なでこが叫び返す。
「テンガマン、私に任せて!」
なでこはバイブを手に、深呼吸。
「母さん…力を貸して!」
彼女がバイブを起動すると、振動音がこれまでにない高周波に変化。
バイブが光を放ち、形状が変化――刃のように鋭い「バイブレード」に進化!
「テンガマン、これを!」
世之介がバイブレードを受け取り、振動する刃で黒い蚊を次々と切断。
装甲を貫くその威力に、紙様すら動揺する。
「な…何!? その力は!?」
麻呂もメガネに全集中をかけ、ついに紙様のUFOをロックオン。
「テンガマン、正面100メートル! 紙様がそこにいる!」
世之介はバイブレードを振り上げ、UFOを一刀両断!
爆音と共に蚊の大群が崩れ落ち、紙様は叫びながら消滅。
「覚えておれ、愚かな人間どもよ…!」
戦闘後、なでこはバイブレードを握り、息を切らす。
「この形態…維持するには、もっと強い充電が必要。けど、私…やれる」
彼女の瞳には決意が宿る。
麻呂は呆れつつも感心。
「お前、マジでバイブレディだな…」
世之介が笑う。
「ハハッ! これで紙様もビビったぜ! けど、なでこ、充電の特訓は続くぞ!」
「ふざけるな!」
なでこの叫びが夜空に響く。
だが、紙様の言葉が脳裏に残る。
「欲望を全て喰らう…」
次の戦いは、さらに過酷になる予感がした。