第5話:バイブレディの覚悟
遊佐麻呂、筋川世之介、嘉門なでこ。
三人の奇妙なチームが結成されて数日。
街はますます異様な雰囲気に包まれていた。
麻呂のメガネが捉える巨大蚊の数は増え続け、欲望を吸われた人々はまるで抜け殻のようだ。
コンビニ前のいつもの作戦会議で、麻呂は苛立ちを隠せない。
「くそっ、蚊の数が多すぎる! 俺のメガネもそろそろ限界だぞ、目がシパシパする!」
世之介は巨大バイブを肩に担ぎ、ニヤリ。
「ゆさまろ、目が疲れたら俺のテンガでリフレッシュしろよ!」
「死んでも嫌だ!」
麻呂が叫ぶ中、なでこが冷たく割り込む。
「くだらない話はやめて。敵の動きが活発化してる。紙様が本気を出してきた証拠よ」
なでこはノートパソコンを開き、ネットにアップされた情報を示す。
「私が追ってる掲示板に、蚊の目撃情報が急増してる。吸われた人は性欲どころか、生きる気力まで失ってるみたい」
「マジかよ…じゃあ、少子化どころか人類滅亡じゃねえか!」
麻呂の声が震える。
その時、空に異変が。
UFOがこれまでより大きく、禍々しい光を放ちながら出現。
マッチ棒男が三体、甲高い声で蚊の大群に命令を下す。
だが、今回の蚊は一回り大きく、翅に金属のような光沢がある。
「強化型か!?」
世之介が吼える。
戦闘開始。
世之介は巨大バイブを振り回し、蚊を薙ぎ払うが、強化型の装甲は硬く、ダメージが通りにくい。
「くそっ、なでこ、このバイブパワー足りねえぞ!」
なでこは唇を噛み、バイブを手に取る。
「なら…充電するしかない」
彼女は顔を赤らめながら、バイブを起動。
その振動音が響く中、巨大バイブが金色に輝き、パワーが急上昇!
「テンガマン、今だ!」
麻呂が叫び、UFOの位置を指示。
世之介は輝くバイブを振り上げ、強化型蚊を一撃で粉砕。
さらにUFOに突撃し、二機を撃墜。
だが、最後のUFOは紙様らしき影と共に逃亡した。
戦闘後、なでこは息を切らし、恥ずかしそうに言う。
「…充電、結構キツいわ。これ、毎回やるのは無理よ」
「ハハッ、バイブレディ、気合いだな!」
世之介が笑うが、麻呂は複雑な表情。
「お前ら…ほんと変態だな」
なでこは気を取り直し、告げる。
「紙様の目的は、欲望を吸い尽くして人類を衰退させること。次の攻撃はもっとヤバいはず。私、もっと情報集める」
彼女の瞳には、母の形見にかける覚悟が宿っていた。