表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/13

第4話:バイブレディ、暗躍

数日後、麻呂と世之介はいつものコンビニ前で作戦会議を開いていた。


蚊の襲撃は頻度を増し、街の男女は目に見えて活気を失っている。


麻呂のメガネが捉える光景は、まるで欲望が枯れていく街そのものだった。


「ゆさまろ、俺のテンガが警告してんだ。敵はもっとでかい動きを計画してるぞ」


世之介が真剣な顔で言う。


麻呂は眉をひそめる。


「でかい動きって何だよ? てか、お前のテンガ、ほんとに喋るのか?」


「疑うなら触ってみな! 魂の振動が分かるぜ!」


世之介がテンガを差し出すが、麻呂は全力で拒否。


「いや、遠慮するわ! キモい!」


その時、背後から奇妙な音が聞こえた。


ブーン…ブーン…。


低く、しかし力強い振動音。


麻呂が振り返ると、そこには若い女が立っていた。


25歳くらい、長い黒髪に鋭い目つき。


彼女の手には、ピンク色に光るバイブが握られている。


「お前…何だ、そのバイブ!?」


麻呂が叫ぶと、女は冷ややかな視線を返す。


「あんたたちがテンガマンとメガネね。私、嘉門なでこ。


このバイブは母の形見よ。…そして、あんたたちと同じ敵と戦ってる」


「な、なでこ!? バイブ!? 形見!?」


麻呂は混乱の極み。


世之介は目を輝かせる。


「おお、仲間か! バイブに魂が宿ってるタイプだろ? 俺のテンガと話が合いそうだ!」


なでこは鼻で笑い、バイブを掲げる。


「このバイブは30年、母を支えた神聖な道具。蚊の存在に気づかせてくれた。


でも、私には戦う力はない。だから…これをあんたに預ける、テンガマン」


彼女がバイブを投げると、それは光を放ちながら巨大化。


世之介の手には、まるでハンマーのような巨大バイブが握られていた。


「す、すげえ! これがバイブパワーか!」


世之介が興奮する中、蚊の大群が再び襲来。


麻呂が叫ぶ。


「テンガマン、UFOは正面! マッチ棒が三体いる!」


世之介は巨大バイブを振り回し、蚊を一掃。


なでこが冷静に言う。


「そのバイブは武器として使えるけど、使いすぎると充電が必要よ。私が…その、使うことでね」


彼女の頬がわずかに赤らむ。


麻呂は目を丸くし、世之介はニヤニヤ。


戦闘後、なでこは二人に告げる。


「私は蚊のことをネットで調べ続けてきた。あんたたちの戦いを見て、協力しようと決めたの。


敵の首領は《紙様》って呼ばれてるらしい。神の使者で、人間の欲望を奪って種を滅ぼそうとしてる」


「神!? 紙様!? 何それ、マジやべえじゃん!」


麻呂の声が裏返る。


なでこは静かに続ける。


「これから私がサポートする。バイブレディとしてね」


こうして、三人の奇妙なチームが結成された。


だが、なでこのバイブが秘める真の力は、まだ誰も知らない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ