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第3話:欲望を喰らう蚊の正体

遊佐麻呂と筋川世之介、奇妙なコンビが誕生した翌日。


麻呂は再び街を歩きながら、メガネ越しに広がる異常な光景を凝視していた。


巨大な蚊が男女の背中に張り付き、欲望をチューチュー吸い上げる光景は、慣れてもぞっとする。


空にはUFOが浮かび、マッチ棒のような異星人が蚊を操っている。


麻呂の“エロ専用メガネ”が映し出すこの“真実”は、日に日に鮮明になっていくようだった。


「ゆさまろ、ボーッとしてんなよ! 蚊がまた増えてんぞ!」


世之介がテンガを握りしめ、ドスドスと駆け寄ってくる。


20年間使い続けたテンガに宿る魂が、彼に戦う力を与えているらしい。


だが、麻呂にはまだ信じがたい話だ。


「お前、テンガに魂って…マジで何だそれ? 俺のメガネも大概だが、お前のテンガも大概だろ!」


麻呂が突っ込むと、世之介は豪快に笑った。


「ハハッ! 細けえことはいいんだよ! 俺のテンガが言うには、


こいつら《欲喰い》は人間の性欲を吸って、繁殖力を奪ってる。少子化の原因はコイツらだ!」


「少子化? いや、経済とか晩婚化とか色々あるんじゃ…」


麻呂の言葉は途中で止まる。


UFOから新たな蚊の大群が放たれ、二人に向かって突進してきたからだ。


「ゆさまろ、指示を出せ! ボスの位置は!?」


麻呂はメガネをかけ直し、空を見上げる。


「左斜め30度、UFOが二機! マッチ棒が蚊を操ってる!」


世之介は吼え、テンガを振り回して蚊を次々と粉砕。


だが、蚊の数は増える一方で、世之介の動きに疲れが見え始めた。


「くそっ、数が多すぎる! ゆさまろ、何か手はねえか!?」


その時、麻呂の脳裏に閃きが走った。


30年間エロ動画で鍛えた集中力は、戦術にも活かせるはずだ。


「テンガマン、UFOを直接叩け! 蚊はUFOから指令を受けてる! ボスを潰せば蚊が止まる!」


「お前、天才かよ!」


世之介はテンガを振り上げ、近くの電柱を蹴り上げて跳躍。


UFOに突撃し、テンガの一撃で一機を粉砕!


蚊の動きが一瞬鈍り、世之介が残りの蚊を叩き潰す。


だが、もう一機のUFOはマッチ棒男と共に逃亡した。


「ちっ、逃げられたか…」


世之介が息を切らす中、麻呂はふと気づく。


遠くの路地で、誰かがこちらを覗いている。


長い髪、細いシルエット。


手に何か光るものを持っているが、すぐに姿を消した。


「…誰だ、今の?」


麻呂の背筋に冷たいものが走る。


この戦いは、まだ始まったばかりだ。


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