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お前の母ちゃんは悪役令嬢な!

作者: 山田 勝

「ヤーイ!ヤーイ!お前の母ちゃん悪役令嬢!」


「な、何だと!僕の母ちゃんは悪役令嬢じゃないやい!」


「ヤーイ!涙ぐんでやんの!」



 また、馬鹿にされた。母ちゃんは悪役令嬢と悪口を言われた。

 内職をする悪役令嬢なんているワケがない。


 しかし、疑念もある。


 家に帰ると母ちゃんがいた。

 いつも母ちゃんはドレスを着て刺繍をしている。

 しかも、金髪は両脇でクルクルとまとめている。


 まるで絵本の御姫様みたいじゃないか?



「母ちゃんは悪役令嬢なの?」

「オホホホ、自分で悪役令嬢だなんて言わないのよ」


「なら、何故、オホホホと笑うの?」

「それはオホホホ村出身だからだわ」


「その村、どこにあるの?」

「ダムで沈んだわ」


「何故、母ちゃんはいつも紅茶を飲むの?庶民はエールじゃないの?」

「それは、私は紅茶の妖精の愛し子よ」



 怪しい。とてつもなく怪しいが・・・

 でも大好きだ。


「夕飯の時間だわ。少し待っていてね」

「母ちゃん。今夜はなに?」

「イモで作ったハンバーグよ」

「やったー!」




 カーーーン!カーーーン!


 警報だ。これは悪役令嬢出現の警報だ。



「母ちゃん。大変だ。悪役令嬢警報だ!」

「大丈夫よ。戸締まりをするのよ」



 いつの頃からか悪役令嬢が押し寄せるようになった。

 賢者の話だと異世界からの干渉が原因らしい。



【私は悪役令嬢!!今気がついたわ!】


 外から声が聞こえる。


「大変だ。金物屋のミリーが憑依された!」


 何でも周りの時空が歪み事実が改変されるらしい。世界のほころびになるとか言うけど、難しい事はわからない。庶民で分かることは、イケメンを捕まえようとして、邪魔する者はぶっ叩かれるぐらいのことだ。


「ケビン、大丈夫よ。冒険者さんたちが対処してくれるわ」

「母ちゃん!」


 恥ずかしいけど、母ちゃんのスカートの裾を掴んだ。

 優しく肩を抱いてくれる。


 外の戦いの音が家の中まで聞こえる。近くで戦闘が起きている・・



「緊縛成功!聖女殿頼む!」

「除霊!」


 もう安心だ。悪役令嬢は祓われたらしい。

 早く警報解除にならないかな。



 シーーーン



 急に外が静かになった。


 カツ!カツ!

 と足音が聞こえ。


 ドン!と音とともにドアが吹き飛び悪役令嬢が入って来た。



 釣り目の黒いドレスを着た令嬢だ。金物屋さんのミリーが豹変している・・

 彼女の口から異国の言葉が聞こえてくる。



「(消費税10パーセントになったら、何故、ジュースが10円値上げになる?許せない。内政チートね!)」



 まさか・・・


「転生悪役令嬢よ!!ケビン逃げて!」


 足がすくむ。

 転生悪役令嬢は全てのことをお見通しだ。


「(ショタ発見!今からお姉ちゃん大好きに育てるか・・・義弟設定)」



 あれ、怖くない。本当は善い人に見える・・


 手をかけられる瞬間。母ちゃんの声で目が覚めた。


「ケビンは私の子よ。渡さないわ!」


 ビシッ!と扇で転生悪役令嬢の腕をはたいてくれた。


 やっぱり母ちゃんは悪役令嬢か・・・


 母ちゃんが扇で戦ってくれるが、転生悪役令嬢がひとつ上だ。

 まるで動きが全て分かっているようだ。



「(あ~、スキル!ゲーム。この女の動きを知らせろ!)」



 母ちゃん・・・がボロボロになっていく。


「ケビン!逃げるのよ!」


 はあ、はあ、はあ。足がすくんで動けない。


「キャア!」

「母ちゃん!」


 その時、僕の頭の中に浮かんできた・・・




 ☆回想


 王城の中に僕がいる。大人?いや、少しお兄さんだ。


「しまった!!婚約破棄をする寸前じゃないか?・・・思い出した。ここはゲームの世界!今から、婚約破棄を撤回して、悪役令嬢を愛でなければ!」


 あれ、じゃあ、ピンクブロンドはどうするか?徹底的に悪にしてざまぁにするか。

 善い人にして・・・はできないな・・




 ・・・・・・・・・・・・・・




 気がついた。僕は転生馬鹿王子!



「(悪役令嬢!君は愛される存在だ!)」


 と異国の言葉で叫んで ガシと抱きついた。


 ミリーさんの体から、黒い霧のような物が出て天井に抜けていく。

 徐々に戻っていくように見えた。


 だけど、煙が止った。


「フン!甘いわ!」


 抱きつかれた。


「このまま一緒に(日本)に帰るわ」


 ニィホン?何だろう。その時、壊れたドアからまた人が入って来た。



「ちょっと、到着したのだからね!転生ピンクブロンドだからね!」



 何だ。頭がピンクで僕と同じくらいの少女が現れた。冒険者の杖を持っている。


 すると、ピンク頭の少女は。


「成仏!南無阿弥陀仏!」


 と叫んで、

 ガツンと杖で転生悪役令嬢を殴った。



 ミリーさん本体から、何か魂みたいなものが抜けて、ミリーさんは倒れた。

 急に我に返る。戦いとはいえ。お姉さんを抱きしめてしまった。



「フン!そこの少年、力は欲しいか?」

「あの、何でそんな話し方?」

「術式『ツンデレ』だからねっ!」


「母さんは認めませんよ!結婚は幼なじみよ!」

「母さん・・引っ越してきたから幼なじみはいないよ」



 結局、その後、冒険者ギルドで母さんは悪役令嬢アドバイザーになった。

 実は隠していたみたいだ。



「ヤーイ!ヤーイ!お前の母ちゃん悪役令嬢!」


 また、同い年のガキに悪口を言われた。


 俺は親指を立てて。


【俺の母ちゃんは大陸一の悪役令嬢だぜ!】


 と宣言をした。


 俺は冒険者ギルドで力の使い方をあのピンク頭から習っている。

 いずれ、彼女と、馬鹿王子&男爵令嬢のコンビでこの世界の脅威に立ち向かう予定だ。

 母さんのアドバイスを受けて頑張る!





最後までお読み頂き有難うございました。

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タイトルから笑わせていただきますた♪wwwwww
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