突然の訪問者
翌日あやかは母親が仕事に行った後起きてきてジョセフィーヌと一緒に朝食を取る。
ワンワン!!
ジョセフィーヌがあやかの元にやってくる。
「ジョセフィーヌ、今日もお散歩に行ってそれから」
麻里子の所に行こうと言おうとした。しかし昨日の今日だ。きっと言っても会ってくれないだろう。
「図書館に行きましょう。」
しかしジョセフィーヌは浮かない顔をしている。
「そうね、ジョセフィーヌは図書館に入れないものね。」
ワンワン!!
再びジョセフィーヌに笑顔が戻る。
「家で一緒に勉強しましょう。」
その1言でジョセフィーヌは再び俯く。
「ごめんね!!ジョセフィーヌ。でも麻里子お姉様は私達が来る事を望んでないわ。」
ピンポーン!!
その時玄関のインターフォーンが鳴った。
「一体誰かしら?」
ジョセフィーヌがあやかのスカートの裾を引っ張って行かせないようにする。
「大丈夫よ。あの人達じゃないわ。」
借金取りの男はいつもドアを蹴り上げ大声を荒げてる。あやかはジョセフィーヌを連れ玄関へと向かう。
「今、開けます。」
あやかが扉を開ける。
あやかの目の前には軍服姿の人物が立っていた。軍帽を深く被っているため顔はよく見えない。
「君の母親の借金はチャラだ。」
そう言って軍服姿の軍人はあやかに封筒を渡す。
「あの、これは??!!」
中には大金が入っていた。
「過払い金だ。受け取っておけ。」
そう言って軍人は帰っていこうとする。
「あの、あなたは誰ですか?!あの、借金がなくなったって。」
ワンワン!!
ジョセフィーヌがやってきて軍人の足に擦り寄る。
「ほら、君の飼い主は僕じゃない、向こうにいるだろう。」
ジョセフィーヌは軍人の顔を舐め始める。
「こら、やめなさい、くすぐったいだろう。」
「ジョセフィーヌ、やめなさい。」
あやかが止めに入ろうとする。しかしジョセフィーヌは軍人に飛び掛かる。その瞬間バランスを崩し転倒した瞬間軍帽が落ちる。
「麻里子お姉様!!」
軍人の正体は麻里子だった。夜会巻きに纏められるだけの髪はばっさり切られ短髪になっている。
「その髪どうしたのですか?!それに軍服なんか着て。」
「あいつらとやり合ってな。」
あいつらとは借金取りの事だろう。
「あいつらは違法な金貸しだ。法外な利息をふっかけて金を搾り取ろうとする悪党だ。でももう安心だ。あいつらはもう来ないよ。」
「お姉様!!」
それだけ答えると麻里子はその場に倒れ込む。
「麻里子お姉様。」
麻里子は目を開けると天井と自分を覗き込むあやかの姿が目に映った。
「ここは?」
「私の家です。」
「そうか、君が運んでくれたのか?ありがとう。」
麻里子は起き上がろうとする。
「寝ていて下さい。」
「大丈夫だ、君に迷惑はかけられない。」
「全部話して下さい。」
起き上がり布団からでようとする麻里子の肩をあやかは両手で抑える。




