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「なぁ、ナガレ! 一生のお願いっ!!」
その日、俺はこの十九年の間に親友から何百回も聞いた『一生のお願い』をまた聞いた。
「俺の婚約者になってほしいっ!!」
ただし今回の内容は、今まで聞いてきたものとは比較にならないほどにぶっ飛んでいたけども。
「……はぁ?」
永禮晴海、十九歳。『はるみ』なんて女みたいな響きの名前だけど、その実態は立派に男。ガタイはイカつい方で、名前だけ見て女と勘違いした野郎どもの前に姿を現し、何度絶望を与えたかも分からない。
そんな俺は、『人気の少ない学食』という色気よりも食気が俄然強い場所で、なぜか幼馴染からプロポーズを受けていた。