鎖
鎖に刻まれた魔法陣を凝視する。複雑な幾何学模様と、見慣れない文字が織りなす、精巧な魔法の力を感じる。 アトランティス文明の魔法…これは、単なる拘束魔法ではない。時間そのものを歪ませているかのような、異様な魔力を感じる。 「無限本」に記された知識を総動員する。数式、図形、音楽…あらゆる情報を脳内で駆け巡らせる。 その時、魔法陣の中に、かすかな共鳴を感じた。それは、「創世の言葉」の一部と酷似した、音階だ。 私は、アトランティス文明の竪琴を取り出す。この竪琴は、ウィルムを鎮め、山脈の崩壊を阻止した際にも使った、強力な魔法道具だ。 竪琴を魔法陣に近づけると、微かに震え始めた。そして、竪琴から発せられる音色が、魔法陣の模様と共鳴し始める。 私は、直感的に、この音階を演奏することで、魔法陣を解くことができるのではないかと考えた。 慎重に、竪琴の弦をはじく。 最初は、かすかな音色だったが、徐々に、力強い旋律へと変化していく。 魔法陣は、音色に反応するように、輝きを増していく。 そして、ついに、魔法陣が崩れ始めた。 鎖が砕け、図書館長と歴史家は解放された。 「ミタム…貴女は…一体…」図書館長は、言葉を失ったように、私を見つめている。 歴史家は、依然として言葉を失ったまま、ただ、私の顔をじっと見つめている。 二人は、この異空間、そして、彼らを捕らえた者たちについて、何も語ろうとしない。 彼らの沈黙は、この空間の異様な雰囲気と相まって、私の胸に、深い不安を呼び起こす。 脱出は成功した。しかし、新たな謎が、私を待ち受けている。




