人声
かすかな人声は、廃墟となった建物の奥から聞こえてくるようだ。崩れかけた石壁の隙間から、わずかな光が差し込み、湿った空気を照らしている。足元には、苔むした石が散乱し、一歩一歩慎重に進む必要がある。空気は、湿った土と、何とも言えない古臭い匂いが混ざり合った、独特の臭気を放っている。
建物の入り口らしき場所に到着する。崩れ落ちた石の塊を避けながら、中へと入っていく。内部は、さらに薄暗く、湿気は増している。壁には、奇妙な模様が刻まれており、ところどころに、崩落した天井から落ちた石や土砂が堆積している。
奥へと進むと、微かに光が見えてくる。その光は、ろうそくの炎のように揺らめいている。光源に近づくと、そこにいたのは、拘束された図書館長と歴史家だった。二人の顔は、青ざめており、憔悴しきっている。
図書館長は私を見て、かすかに目を見開いた。「ミタム…貴女が…まさか…」
歴史家は、うつむいたまま、何も言わない。彼の肩は、激しく震えている。
私は、二人が拘束されている鎖を調べた。魔法で封じられているようだ。複雑な魔法陣が、鎖に刻まれている。
「大丈夫ですよ。助けます。」と、私は静かに告げる。
「しかし…ここは…」図書館長は、言葉を途切れ途切れにする。「我々を捕らえた者たちは…アトランティス…時間軸を…超越した…」
彼の言葉は、理解しがたい部分もあるが、アトランティス文明と、この異空間、そして、彼らの失踪が深く関わっていることは明白だ。 この異空間の雰囲気、そして図書館長の言葉から、ここは単なる監獄ではなく、何らかの魔法的、あるいは時間的な歪みが存在する場所だと感じる。 拘束を解く方法を見つけ出す必要がある。 そして、この異空間から脱出する方法も。 私の旅は、さらに深みへと進んでいく。




