時間転移装置
時間転移装置は、予想以上に激しい反応を示した。装置全体が、眩いばかりの光を放ち、轟音と共に激しく振動し始めた。私の体は、強い圧力に押しつぶされそうになり、耳元では、宇宙の創造を思わせるような、複雑で壮大な音が鳴り響く。まるで、多元宇宙の調和と混沌が、同時に押し寄せてくるかのようだ。 ギルドマスターは、私の傍らで、必死に装置を支えようとしていた。「ミタム!大丈夫か!?」彼の叫び声は、装置の轟音に掻き消されそうになる。 しかし、私は不思議な静けさを感じていた。まるで、時間と空間の狭間で、全てが静止したかのような感覚だ。激しい振動と轟音は、私の意識の外に存在しているように感じられ、私は、ただ、この不思議な感覚に身を任せていた。 一瞬の静寂の後、光と音が収まり、装置の振動は止まった。辺りは、静寂に包まれた。そして、私は、自分が異空間へと転移したことに気づいた。 周囲は、薄暗く、湿った空気に満ちている。崩れかけた石造りの建物が立ち並び、不気味な静寂が漂っている。空には、異様な色の星々が輝き、まるで異世界の夜空のようだった。 私は時間転移装置の機能を、完璧に制御できたとは言えない。ピンポイントの転移には失敗し、おそらく、想定した場所の近辺に転移したのだろう。しかし、ここは明らかに、現代の地球とは異なる空間だ。 ギルドマスターの姿は見えない。彼も、私と一緒に転移したのだろうか?それとも、転移に失敗したのだろうか?不安が、胸の中に広がる。 私は深呼吸をして、冷静さを保とうとする。今は、落ち着いて状況を把握することが重要だ。周囲の音に耳を澄ませ、危険がないかを確認する。 その時、遠くから、かすかな人声のような音が聞こえてきた。「…誰か…いるのか…?」 私は、その音のする方向へとゆっくりと歩みを進める。薄暗い空間の中で、私の足音は、不自然な静けさを際立たせる。 この異空間で、私は一体何を見つけ、何を経験するのか。そして、図書館長と歴史家は、本当にここにいるのだろうか? 私の旅は、新たな局面へと突入した。




