竪琴の旋律
私の竪琴の旋律は、裂け目の渦に吸い込まれていくように、徐々にその強度を増していく。音色は、もはや単なる音ではなく、何か生きた存在の呼吸のように感じられる。裂け目から放たれるエネルギーと、私の奏でる音楽が、完璧な調和を成し始めたのだ。 ギルドマスターは、私の傍らに静かに立っている。彼の顔には、もはや恐怖の表情はない。代わりに、深い思索と、かすかな期待が混ざり合った複雑な表情が浮かんでいる。 彼の沈黙を破り、私は問いかける。「ギルドマスター、何か感じますか?」 ギルドマスターはゆっくりと目を閉じ、しばらくの間、静かに耳を澄ませた後、目を大きく開いてこう答えた。「…感じる… まるで…宇宙の…鼓動が…聞こえるようだ…」 彼の言葉に、私は頷く。私も、同じものを感じている。この音色は、単なる音楽ではない。宇宙の根源的なリズム、創造の旋律そのものだ。それは、言葉では言い表せないほどの壮大さと、奥深い神秘を秘めている。 演奏はクライマックスに達し、竪琴から放たれる光は、裂け目の渦を圧倒する勢いで輝きを増していく。渦の中心から、かすかな光が漏れ出し、徐々にその輝きを増していき、裂け目の形を変えていく。 渦は収縮し始め、やがて、小さな光の球へと変化する。その球体は、まるで生命体のように、ゆっくりと回転し始める。 「これは…一体…」ギルドマスターは、息を呑んで呟く。 私は、竪琴の演奏を止め、光の球体をじっと見つめる。その球体からは、温かいエネルギーが感じられ、何とも言えない安心感に包まれる。それは、恐怖や不安とは無縁の、純粋な存在感だ。 光の球体は、ゆっくりと私の手へと近づいてくる。そして、私の手のひらの上で静かに止まる。それは、まるで、何かを伝えようとしているかのようだ。 球体から、かすかな声が聞こえてきた。それは、言葉ではなく、感覚として伝わってくる。 「…歓迎…する…」 その声は、宇宙そのものの声のように、深く、そして優しく、私の心に響いてくる。 光の球体、そしてその声の正体はまだわからない。しかし、私は、この出会いが、新たな冒険の始まりであることを確信している。 ギルドマスターは、驚きと感動の入り混じった表情で、その光景を見つめている。彼の顔には、新たな決意が宿っているようだ。 私たちの冒険は、新たな局面を迎えている。




