時間転移装置
時間転移装置から生まれた裂け目は、みるみるうちに広がり、漆黒の渦を形成していく。その渦からは、異様なエネルギー波動が感じられ、私の身体を震わせる。ギルドマスターは、驚きと恐怖の入り混じった表情で、その光景を見つめている。「これは…一体…?」彼の声は、震えている。
私は、無限本を手に取り、ページをめくり始める。しかし、この状況に関する記述はどこにもない。この事態は、私の予測をはるかに超えている。未知の領域への突入だ。恐怖はあるが、それ以上に、好奇心が私の心を支配する。私は、この謎を解き明かさなければならないという使命感に駆られる。
「ギルドマスター、この裂け目…危険だと分かりますか?」私は尋ねる。
ギルドマスターは、ゆっくりと首を横に振る。「分からない…いや、危険なのは間違いないだろう。しかし…見過ごせるものでもない。この異変の原因、そしてあの裂け目の向こう側…知りたい…というより、知らなければならないのだ。」彼の目は、強い意志で輝いている。
私たちは、しばらく言葉を交わさず、裂け目を凝視する。その深淵からは、何かが這い上がってくるような、不気味な気配が漂っている。
「準備はいいか?」私はギルドマスターに問いかける。彼の答えを待たずに、私はアトランティス文明の竪琴を取り出す。この竪琴は、これまで何度も危機を救ってきた。今回も、きっと役に立つだろう。
竪琴の弦に指を触れると、いつものように宇宙のエネルギーが流れ込んできた。しかし、今回はそのエネルギーが、今までとは違う。より深く、より強く、そして…より不安定だ。裂け目から放たれる異様なエネルギーが、竪琴と共鳴しているようなのだ。
私は、深呼吸をして、竪琴を奏で始める。しかし、今回は、事前に決めた旋律ではない。裂け目から聞こえてくる、不気味なノイズを元に、即興で演奏する。それは、まるで、裂け目と対話しているかのような、不思議な演奏だ。
音色は、不安定で、時に鋭く、時に優しく、変化していく。それは、私の感情、そして裂け目のエネルギーが反映された、混沌とした旋律だ。しかし、その中に、かすかな希望のようなものも感じられる。
ギルドマスターは、私の演奏に聞き入っている。彼の表情は、徐々に穏やかになっていく。恐怖は消え、代わりに、不思議な安らぎが訪れているようだ。
演奏は、まだ終わっていない。裂け目の向こう側、未知の領域との交信は、始まったばかりだ。




