冷たい風
冷たい風が吹き荒れる中、私は影に立ち向かう。影は、まるで墨絵が動き出したかのように、不気味な形状で迫ってくる。その動きは速く、予測不能だ。一瞬の隙を突かれれば、致命傷を負うだろう。しかし、後には引けない。ギルドマスターは、時間転移装置の起動スイッチに手を伸ばしている。彼の顔には、緊張と不安が見て取れる。
私は、深呼吸をして、無限本を開く。ページには、複雑な数式と幾何学模様がびっしり書き込まれている。それらは、宇宙の法則を表す音楽の楽譜でもある。私は、アトランティス文明の竪琴を取り出す。竪琴は、まるで生き物のように、私の手に温かく馴染む。
竪琴の弦に指を触れると、宇宙のエネルギーが流れ込んできた。それは、これまで感じたことのない、圧倒的な力だ。私は、無限本に書かれた楽譜を、心を込めて奏で始める。音符一つ一つが、宇宙のエネルギーと共鳴し、私の周りに光の輪を発生させる。
影は、私の奏でる音楽に反応する。まるで、嫌悪感を示すかのように、不気味に蠢き始める。しかし、私の音楽は、影を完全に圧倒する力を持っている。音楽は、宇宙の法則そのものだ。影は、その法則に反する存在であり、私の音楽によって、徐々に弱体化していく。
「…なんと…」ギルドマスターは、驚きの声をあげる。彼の目には、驚きと感動が入り混じった表情が浮かんでいる。残りの部下たちも、私の奏でる音楽に聞き入っている。彼らの顔には、恐怖の影は消え、希望の光が差し込んでいる。
影は、私の音楽によって、少しずつ形を失っていく。そして、ついに、消滅する。静寂が訪れる。まるで、時間が止まったかのような、静寂だ。
ギルドマスターは、静かにスイッチを押す。時間転移装置は、かすかな音を立て、ゆっくりと動き出す。装置から放たれる光は、次第に強くなり、空間を歪ませ始める。
私は、竪琴を置き、ギルドマスターに近づく。「…成功するでしょう。」と、私は静かに言う。彼の顔には、安堵の表情が浮かんでいる。
しかし、その瞬間、新たな異変が起きる。時間転移装置から放たれた光が、空に巨大な裂け目を生み出したのだ。裂け目からは、想像を絶する異様な光景が覗いている。それは、別の時空、あるいは別の宇宙への入り口なのかもしれない。
私は、これから何が起こるのか、まだ知らない。しかし、私は、この世界、そして宇宙の運命を背負っていることを感じている。




