巨大な影
巨大な影は、ゆっくりと、しかし確実に、私たちに近づいてくる。その影は、形を定めることなく、まるで墨絵のように、ぼやけて揺らめいている。空気は重く、息苦しさを感じた。ギルドマスターの部下たちが、剣を抜き、警戒態勢をとる。私は、無限本を手に、影の正体を探ろうとする。
影が近づくにつれて、その輪郭が次第にはっきりしてきた。それは、人間のような形をしていたが、明らかに異常だった。皮膚は、腐敗した肉のようで、ところどころに骨が露出している。目はなく、代わりに空洞が口のように開いており、そこから不気味な音が聞こえてくる。その音は、まるで魂の叫びのようだった。
「…これは…ゴースト…ではないな…」ギルドマスターが呟く。彼の声には、動揺が隠せない。通常の人間のゴーストとは違う、異様な雰囲気を放っているのだ。
影は、ついに私たちの前に姿を現した。それは、巨大な骸骨のようなもので、腐敗した肉片が垂れ下がっていた。しかし、その骨格は、人間のそれとは異なり、不自然に大きく、歪んでいた。まるで、複数の骨が無理やり繋ぎ合わされたかのような、異様な姿だった。
「…アトランティス…の…失敗作…」影から、かすれた声が聞こえた。それは、まるで、石が擦り合わさるような、不快な音だった。
「失敗作…だと?」ギルドマスターが、鋭く声を上げた。「一体、何者だ!」
影は、ゆっくりと、言葉を紡いだ。「…我々は…アトランティス…の…禁断の技術…の…産物…時間…を操る…実験…の…失敗…だ…」
その言葉に、私は衝撃を受けた。アトランティス文明の禁断の技術…時間転移装置の開発過程で、生み出された失敗作なのか…だとすれば、時間転移装置と何らかの関係があることは間違いない。
「時間転移装置の起動を阻止しにきたのか?」私は、影に問いかけた。
影は、かすれた声を上げた。「…いや…我々は…時間…を超えて…存在する…時間…の…歪み…だ…」
その言葉の意味を理解する前に、影が動き出した。腐敗した肉片が飛び散り、鋭い骨が、私たちに襲いかかる。ギルドマスターの部下たちが、必死にそれを防ごうとするが、影の動きは速く、予測不能だった。私は、無限本に書かれた古代魔法の知識を頼りに、防御魔法を展開する。しかし、影の攻撃は、魔法をもすり抜けるように、私たちに襲いかかってきた。




