辺境の村
辺境の村は、想像以上に荒涼としていた。山々が連なる険しい地形で、獣道と呼べるような細い道しか存在しない。ギルドマスターは、彼の部下数名と共に先導し、私は無限本を胸に、その道を進む。冷たい風が吹き付け、肌を刺すような感覚がある。空には、不気味なほど静寂が支配し、鳥のさえずり一つ聞こえない。
数時間歩いた後、やっと村らしきものが見えてきた。しかし、それは廃墟と化したような村だった。崩れかけた家々、朽ち果てた柵、そして、そこかしこに雑草が生い茂っている。村の中心部には、小さな祠のような建物だけが、比較的状態が良いように残っていた。
「…これが、伝説の村か…」ギルドマスターは、呟いた。彼の顔には、一抹の不安が見て取れた。
祠の入り口には、朽ちかけた木製の扉があった。ギルドマスターが慎重に扉を開けると、中は薄暗く、埃っぽい空気が充満していた。祠の中央には、石の祭壇があり、その上に古びた巻物が置かれていた。
「これは…」ギルドマスターが巻物を取り上げ、ゆっくりと広げた。「…村の古老が記した、賢者の血に関する記録のようです…」
巻物には、古代文字で書かれた記述が、ところどころに破損しながらも残されていた。私は、無限本に記された知識を頼りに、その文字を解読し始めた。ゆっくりと、しかし確実に、巻物の内容は明らかになっていった。
それは、賢者の血について記されたものではなく、賢者と深く関わりのあった一族の儀式、そしてその一族が守ってきた秘密について記されていた。賢者の血は、その一族の血筋を受け継いだ者だけが持つ特殊な性質の血液であり、儀式によってその力を引き出すことが可能だと書かれていた。また、その儀式を行うには、一族の聖地であるこの祠と、特定の魔物の心臓が必要であるとも記されていた。
「…なるほど。賢者の血は、単なる血液ではなかったのか…」ギルドマスターは、驚きの表情を浮かべた。「一族の血筋と儀式…そして、魔物の心臓…」
巻物を読み終えた私は、祭壇の周囲を注意深く観察した。何か、他の手がかりはないかと探した。そして、祭壇の奥まった場所に、小さな箱を発見した。箱は、木製の古びたもので、何重にも鍵がかかっていた。しかし、箱の表面には、見覚えのある紋様が刻まれていた。それは、アトランティス文明の紋様だった。
「…これは…もしかしたら…」私は、無限本からアトランティス文明に関する記述を探し始めた。そして、その紋様と同様の紋様を持つ鍵の記述を発見した。それは、アトランティス文明の王族だけが所有していた、特別な鍵だった。その鍵があれば、この箱を開けることができるかもしれない。
私は、無限本に記された知識を頼りに、その鍵を作り始める。複雑な工程を要する作業だったが、私の不死の力と、膨大な知識によって、着実に進捗していった。一方、ギルドマスターは、祠の周囲を警戒し、魔物の襲撃に備えていた。
静寂の中、私はアトランティス文明の鍵を完成させた。




