羊皮紙
羊皮紙をギルドマスターと見つめ合い、私たちは時間転移装置の起動方法を慎重に検討した。必要な材料は既に大部分揃っている。ウィルムの涙、古代遺物の一部、そして…羊皮紙に記された最後の材料、それは「賢者の血」だった。賢者の血とは何か、その詳細な記述は羊皮紙にはなかった。ただ、それは非常に稀少なものであり、強力な魔法の力を秘めているとだけ記されていた。
「賢者の血…一体、何なのか?」ギルドマスターは首を傾げた。彼の知識の広さをもってしても、この材料については手掛かりがないようだ。
私は無限本を開いた。膨大な知識の海の中で、私は「賢者の血」に関する記述を探し始めた。ページをめくり、めくり…何時間も探し続けた結果、僅かな手がかりを発見した。それは、古代の伝説の中に記されていた、一人の賢者の物語だった。その賢者は、並外れた知性と魔力を持つ存在で、彼の血には、宇宙のエネルギーが凝縮されていると伝えられていた。しかし、その賢者の存在場所は、伝説の中でのみ語られており、実在したかどうかさえ不明確だった。
「…伝説の賢者…か…」ギルドマスターは、ため息をついた。「これは、容易に手に入るものではなさそうだ」
私は、無限本を閉じ、ギルドマスターを見た。「伝説とはいえ、手がかりがないわけではありません。伝説には、必ず真実が隠されています。この伝説の賢者に関する情報を、より深く掘り下げる必要があります。まずは、この世界の古文書、伝承、そして、冒険者ギルドが蓄積してきた情報すべてを調べ尽くす必要があります」
ギルドマスターは私の言葉に頷き、「…確かに。私のネットワークと、ミタムの知見を合わせれば、必ず何か手がかりが見つかるはずだ。まずは、冒険者ギルドに戻って、情報を集めよう」
私たちは、地下室を後にし、冒険者ギルドへと戻った。ギルドマスターは、彼の部下に指示を出し、様々な情報を集め始めた。私は、古文書や伝承を調べ、あらゆる文献を紐解いていった。何日も、何日も、私たちは情報を集め、分析し、検証を繰り返した。そして、ついに…小さな、しかし重要な手がかりを発見した。それは、辺境の村に伝わる、不思議な儀式に関する記述だった。その儀式には、「賢者の血」とされる液体が用いられており、その村の古老だけがその秘密を知っているとされていた。
「…辺境の村か…」ギルドマスターは、地図を広げ、その村の位置を確認した。「危険な場所だ。魔物の襲撃も多い…」
私は、ギルドマスターを見た。「しかし、あの羊皮紙に記された時間転移装置…それは、この世界の未来を左右する可能性があります。リスクは承知の上で、私たちはあの村へと向かうべきです」
私の決意は、揺るぎないものだった。伝説の賢者の血、そして、時間転移装置。それらは、この世界の運命を握る鍵であり、私は、その鍵を手に入れるために、どんな危険も乗り越えていく覚悟を決めていた。




