竪琴の弦
竪琴の弦に触れた瞬間、私の体中に、今まで感じたことのないほどのエネルギーが奔流する。それは、ウィルムの涙から受け継いだ、創世の言葉の力、そして、宇宙そのもののエネルギーだ。 私の指が、楽譜に記された音符を辿る。最初は、ぎこちない演奏だった。しかし、徐々に、私の指は、楽譜の音符と一体化するように、自然と動き始める。 それは、まるで、私の体が、宇宙の意志によって動かされているかのようだ。 複雑な旋律は、最初は単なる音の羅列に聞こえた。しかし、演奏が進むにつれて、その旋律は、壮大な宇宙の交響曲へと変化していく。 深遠で、神秘的な響きは、崩れゆく山脈を包み込み、荒れ狂う自然の力を鎮めるように、静かに空間に広がる。 ギルドマスターは、私の演奏を静かに見つめている。彼の顔には、驚きと畏怖の表情が混ざり合っている。 演奏がクライマックスに差し掛かると、空気が歪み始める。 今まで、赤黒く染まっていた空は、徐々に、本来の色を取り戻していく。 そして、演奏が終わった瞬間、世界は静寂に包まれた。 山脈の崩壊は止まり、地響きは消え去った。 辺りは、静かに、しかし確実に、修復され始めている。 「…ミタム…」 ギルドマスターの声は、かすかに震えている。 「…あの…あの演奏は…」 彼の言葉には、驚きと感動が溢れている。 私は、竪琴を静かに置く。 私の体には、まだ、宇宙のエネルギーが満ちている。 それは、制御可能なエネルギーであり、創造の力でもあることを、私は知っている。 しかし、その力の全貌はまだ、私にも解明できていない。 これから、何が起きるのか。 それは、まだ、分からない。 しかし、私は、この世界を、この宇宙を、理解するための旅は、まだ始まったばかりだと感じている。




