地響き
地響きはますます激しくなり、山脈は崩落寸前だった。ウィルムの涙が引き起こした異変は、想像をはるかに超える規模で、制御不能に陥っていた。 私の周囲は、岩屑と土砂で埋め尽くされ、視界はほとんど遮られていた。 しかし、不思議なことに、私は怪我ひとつ負っていなかった。不死の力、そしてウィルムの涙から受け取った情報、それらが私を守ってくれているようだった。 「これは…創世の言葉が、本来の姿を取り戻そうとしている…のか…?」 無限本から得た知識と、ウィルムの記憶、そして今、この体に流れ込んでいる膨大な情報が、私の脳内で繋がり始めた。 創世の言葉は、単なる言葉ではなく、宇宙そのものの法則を記述した、力そのものだったのだ。 ウィルムの涙は、その法則の一部を解放し、世界を再構築しようとしている。 だが、その力はあまりにも大きすぎて、制御できない。 このままでは、この山脈だけでなく、世界全体が破壊されてしまうだろう。 その時、ギルドマスターの声が聞こえた。「ミタム!大丈夫か!?」 彼の声は、かすかに聞こえる程度だったが、彼の存在が、この絶望的な状況の中で、私にとっての希望の光だった。 「ギルドマスター!今、この状況は…創世の言葉の力が暴走しているんです!何とかしなければ!」 私は、叫んだ。 私の声は、地響きの音にかき消されそうだったが、ギルドマスターは、私の声を聞き取ったようだ。 彼は、慎重に、危険な地帯を避けながら、私のほうへ近づいてくるのが見えた。 「落ち着け、ミタム!まずは、ここから脱出しよう!」 ギルドマスターの冷静な声が、私を現実へと引き戻してくれた。 しかし、脱出は容易ではなかった。 山脈全体が崩壊し始めており、安全なルートは存在しない。 「無限本…何か手がかりはないか…?」 私は、必死に無限本をめくった。 その時、ある記述が目に入った。 それは、創世の言葉を制御する方法、そして、この暴走を止めるための方法が書かれていた。 それは、アトランティス文明の古代の儀式、そして、特定の旋律を奏でることで、創世の言葉の力を制御できるという内容だった。 しかし、その儀式には、莫大な魔力と、正確な知識が必要だった。 そして、私は、その儀式を実行する覚悟を決めた。 ギルドマスターと共に、この危機を乗り越えるために。 目の前の絶望的な状況、しかし、私は希望を捨てていなかった。 私の魂は、創世の言葉を理解し、そして、世界を救うために、燃え上がっていた。




