自身の住処
神殿を出た後、ギルドマスター、魔法使い、歴史家と別れを告げ、私は自身の住処へと戻った。無限本は、相変わらず私の傍らに置かれ、静かにページをめくる音だけが聞こえる。宇宙の創造主との出会いは、私の中に計り知れないほどの衝撃と、同時に、新たな謎を残した。創造主の最後の言葉、「その答えは…あなた自身の…心の中に…」は、何を意味するのだろうか。
数日後、ギルドマスターから連絡が入った。彼の言葉は、いつもの明るい調子とはまるで違っていた。「ミタム…大変な事が起きた…図書館長が…消えたんだ…」
彼の声には、動揺と、一抹の恐怖が混じっていた。図書館長、穏やかで知的な老魔法使いは、常に冷静沈着だった。彼が失踪するとは考えられない。一体何が起きたのだろうか?
私はすぐにギルドへと急いだ。ギルドマスターは、憔悴しきった顔で私を迎えた。「図書館の書庫は荒らされ、重要な書物が幾つか無くなっている。そして、図書館長は跡形もなく消えているんだ…」
彼が示した書庫の跡は、想像を絶する惨状だった。書棚は倒れ、書物は散乱し、空気が重苦しく、異様な静寂に包まれていた。魔法使いの気配は、一切感じられない。
ギルドの冒険者たちが、図書館長を探しているという。しかし、彼らの表情は自信なさげで、何か大きな力が働いたと感じているようだった。
私は、散乱した書物の間に、一枚の紙切れを見つけた。それは、図書館長の手紙らしかったが、内容は、まるで暗号のように、意味不明の記号が書かれていた。無限本を開き、その記号を照らし合わせてみたが、今の私の知識では、解読することは不可能だった。
この失踪事件には、何か不自然な点がある。図書館長の性格から考えて、自ら失踪するような人物ではない。何か、強大な力、あるいは、策略が働いた可能性が高い。そして、その力は、宇宙の創造主の言葉と、何らかの関連性があるのではないだろうか。
私は、この事件の背後に潜む謎を解き明かす必要があると感じた。失踪した図書館長、荒らされた図書館、そして謎の暗号。これらの断片を繋ぎ合わせれば、この世界の、そして宇宙の、さらなる真実が見えてくるかもしれない。だが、その先には、想像を絶する危険が待ち受けているかもしれない。
私の心は、新たな謎と冒険への期待、そして、未知なる力への畏敬の念、そして、一抹の不安で満たされていた。




