廃墟
闇の獣が出現した場所は、廃墟と化した古代神殿だった。崩れ落ちた石柱や、苔むした壁には、奇妙な彫刻が数多く残されていた。その彫刻は、無限本に記された数式と、驚くほどよく似ていた。 ギルドマスターは、警戒しながらも、周囲を注意深く観察している。「…まるで、巨大な楽器のようだ…」彼は呟いた。魔法使いは、神殿の壁に触れ、静かに呪文を唱えた。すると、壁からかすかな光が放たれ、古代文字が浮かび上がってきた。それは、私がこれまで見たことのない、未知の文字だった。歴史家は、古びた巻物をめくりながら、呟いた。「…これは…アトランティス文明の文字に似ている…しかし、完全に一致するわけではない…」 私は、無限本を開き、浮かび上がった文字を注意深く観察した。その文字には、独特のリズムがあり、まるで音楽のように聞こえてきた。そして、私は、あることに気付いた。それは、闇の獣の動きと、この文字に刻まれたリズムが、驚くほど一致していたのだ。 「…これは…」私は、息を呑んだ。「この文字は、闇の獣が奏でる音楽の楽譜なのかもしれない…」 ギルドマスターは、眉をひそめた。「楽譜…だと?まさか、あの怪物が、音楽を演奏していたというのか?」 魔法使いは、神殿の壁に刻まれた文字を指さした。「…確かに…この文字には、独特のリズムがある…まるで、何かを呼び込もうとしているかのようだ…」 歴史家は、古びた巻物から、一枚の羊皮紙を取り出した。「…これは…アトランティス文明の文献の一部です…ここに…『宇宙の交響曲』という記述があります…」 彼は、羊皮紙を読み上げた。「…『宇宙の交響曲は、あらゆる生命の根源であり、その旋律を奏でる者は、宇宙の力を操る事ができる…しかし、その力は危険を伴い、奏でる者の魂を奪う可能性もある…』」 私は、羊皮紙の記述に、深く頷いた。「…なるほど…闇の獣は、『宇宙の交響曲』の一部を奏でていた…そして、私は、その旋律と共鳴することで、彼を鎮めた…」 神殿の奥深くから、かすかな音が聞こえてきた。それは、まるで…闇の獣の残した、最後の旋律のようだった。私たちは、その音の源へと、ゆっくりと歩みを進めた。神殿の奥には、何があるのだろうか…。そして、その旋律は、一体何を意味しているのだろうか… 私の胸には、新たな謎と、冒険への期待が、同時に膨らんでいった。




