表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蜜珠の禁書  作者: mutuminn
2部
49/288

静寂

闇の獣が消えた後、静寂が研究室を包み込んだ。空気中に漂う、焦げ付いた臭いと、血の匂い。そのコントラストが、まるで現実と非現実の境目を曖昧にしているようだった。ギルドマスターは、未だに信じられないといった様子で、ゆっくりと剣を鞘に収める。魔法使いは、放心したように杖を握りしめ、歴史家は、古びた巻物を胸に抱きしめていた。


「…信じられない…」ギルドマスターが、呟いた。彼の声には、驚きと疲労が混ざり合っていた。「あの…怪物は…一体何だったんだ?」


私は、無限本を閉じ、ゆっくりと立ち上がった。腰に軽い痛みを感じたが、すぐに回復した。不死の力は、時折、小さな不調を知らせる程度で、深刻なダメージを負うことはほとんどない。


「古代文明と関係がある…としか言いようがないわね」私は、そう答えた。闇の獣の消滅後、研究室には異様な静寂が戻ってきたが、その静寂は、まるで嵐の前の静けさのように、不安感を煽るものだった。


「あの…数式…」魔法使いが、震える声で言った。「あなたが口ずさんだ…数式が、あれを鎮めた…?」


「そうね」私は、頷いた。「闇の獣の動きには、規則性があった。それは、無限本に記された数式と、驚くほど一致していたのよ。まるで…宇宙の法則が、音楽として表現されているかのようだった」


「宇宙の…法則…?」歴史家は、目を丸くした。「そんな…ことは…」


「可能性は、十分にあるわ」私は、無限本を開き、数式の一部を示した。「この数式は、単なる記号の羅列ではない。宇宙のエネルギーと共鳴する、一種の…楽譜なのよ」


「楽譜…?」ギルドマスターは、首を傾げた。「まさか、あの怪物が、音楽に反応するとは…」


「そうね。奇妙だけど、事実よ。あの闇の獣は、私達を襲ってきたのではなく、何かを探していたのかもしれない。そして、私の歌声…つまり、宇宙の法則を奏でることで、それが満たされた…あるいは、逆に、満たされなかったのかも知れないわ」


私は、無限本を再び閉じ、静かに考え込んだ。闇の獣の正体、そして、無限本に記された数式の真の意味。謎は、深まるばかりだ。しかし、同時に、私は、新たな可能性を感じていた。宇宙の法則を理解することで、この世界の未来を変えることができるかもしれない。あるいは、宇宙そのものを変えることができるのかもしれない。その可能性に、胸が躍る。


「さて…」私は、静かに言った。「次のステップに進みましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ