マスターの怒号
ギルドマスターの怒号が、耳をつんざく。彼の剣は、風の如く私の周囲を舞う。精鋭冒険者たちの魔法が、次々と降り注ぐ。水は凍てつき、火は焦がし、土は私の動きを阻む。しかし、二千年の時を経た私の身体は、容易く傷つかない。不死の力は、彼らの攻撃を凌駕する。
無限本から放たれる光が、私の身体を包む。宇宙の旋律が、私の血となり、肉となる。それは、彼らの魔法とは異なる、より根源的な力。彼らの攻撃は、まるで、この宇宙の調和を乱そうとする不協和音のようにも聞こえる。私は、その不協和音を、私の奏でる宇宙の旋律で打ち消す。
私の反撃は、彼らの想像を遥かに超える。それは、彼らの理解を超えた、宇宙の法則そのもの。空間が歪み、星々が瞬き、彼らの魔法は、私の魔法の前に無力化する。ギルドマスターの剣は、私の前に届く前に砕け散る。彼の目は、驚きと恐怖で大きく見開かれている。
しかし、私は彼らを殺すつもりはない。彼らを倒す必要はない。彼らに、私の研究の真実、宇宙の旋律の真実を理解させる必要がある。
「止まれ!」私は、大きな声で叫ぶ。私の声は、彼らの心に響く。「この戦いは、無意味だ!宇宙の旋律は、破壊ではなく、調和を奏でるものだ!」
一瞬、戦いは静止する。ギルドマスターは、息を荒げながら、私を見据えている。彼の顔には、怒りだけでなく、戸惑いも見える。冒険者たちも、私の言葉に驚き、武器を下ろしかけている者もいる。
「…宇宙の旋律…?」ギルドマスターは、呟くように言った。「貴女は…一体何を…」
私は、ゆっくりと、無限本を開く。そのページには、宇宙の法則を表す複雑な数式、幾何学模様、そして音階のようなものが、無限に広がっている。
「これは…宇宙の根源、創造の言葉だ」私は、静かに説明を始める。「この旋律を理解すれば、この世界、そして宇宙の全てを理解できる。だが、その力には、計り知れない危険も潜んでいる。私は、その危険を理解している。だが、私は、この研究を止められない。」
私の言葉は、静かに、しかし力強く、彼らの心に響いていく。彼らの表情は、怒りから、興味へと変わりつつある。彼らは、私の研究、そして私の言葉に、何かを感じ始めている。
「…だから、私は、戦う必要はない」私は、無限本を閉じ、静かに言う。「理解し、共に、この宇宙の旋律を奏でるのだ」
彼らの反応は、まだ見えない。しかし、この静寂が、新たな始まりとなることを、私は確信している。宇宙の旋律は、今もなお、流れ続ける。そして、それは、私と、彼らを繋ぐ、新たな調和の始まりを告げている。




