宇宙の旋律
宇宙の旋律の解析は、想像をはるかに超える集中力を要求する。まるで、果てしない砂漠を歩き続けるような、精神的な疲労が私を襲ってきた。思考は錯綜し、目の前の星雲さえも、ぼやけて見えてくる。このままでは、間違った解釈をしてしまう危険性もある。
「…少し、休憩しましょう」
私は、そう呟くと、意識的に宇宙の旋律からの意識を解き放った。 広大な宇宙空間の中で、小さな、しかし温かみのある光を見つけ、その光に身を寄せた。それは、まるで、遥か彼方の太陽系から放たれる、微弱な光のように感じられた。
ローブの女性は、私の行動を静かに見守っていた。「疲れたのですか?」と、優しい声が問いかけてきた。
「ええ、少し。集中しすぎると、誤った解釈をしてしまう可能性があるからね」私は、正直に答えた。
彼女は、ゆっくりと近づいてきて、私の傍らに腰掛けた。「私も、少し休憩しましょう。この宇宙の広大さは、時に、私たちの精神を蝕むこともあります」
静寂が、二人を包み込む。宇宙の旋律は、まだ遠くで流れ続けているが、その音は、今はそれほど強く感じられなかった。
「…この楽曲、本当に、宇宙の全てを支配しているのでしょうか?」しばらくして、女性が静かに問いかけた。彼女の言葉には、かすかな疑問が混じっていた。
「…おそらく、そうでしょう。少なくとも、私が今まで見てきた限りでは、この楽曲に反する現象は、一つとしてありません。しかし、それは、私がまだ、この楽曲の全てを理解していない、という可能性も示しているかもしれません」私は、ゆっくりと答えた。
「…だとしたら、その全貌を解き明かすには、一体どれだけの時間がかかるのでしょうか?」
「分かりません。千年、いや、もしかしたら、永遠に続くかもしれません。しかし、私は、この旅を続けるつもりです。この宇宙の全てを理解し、そして、この楽曲を完全に奏でる方法を習得するまで」私は、強い意志を持って、そう宣言した。
彼女の瞳には、私の決意を理解したような、深い光が宿っていた。「…そうですか。私も、あなたと共に、この旅を続けましょう」
再び静寂が訪れるが、それは、先程とは違う、温かく、希望に満ちた静寂だった。休憩によって得られたのは、単なる肉体的な休息だけでなく、精神的なリフレッシュと、この壮大な旅を続けるための、新たな決意だった。




