深い森の静寂
深い森の静寂が、私とサクラを包み込む。深淵の呪いを封印した今、私たちが歩むべき道は、その痕跡を浄化することだ。エメラルドシティへ戻る道すがら、周囲の景色は以前と変わらないように見えるが、私は微かな違和感を覚える。空気中に漂う瘴気は消え去ったものの、何かが、以前とは異なっている。
「ミタム、どうかしたの?」サクラが、私の表情を読み取り、問いかける。「何となく、周囲の雰囲気が違うように感じるんだ。深淵の呪いの影響が、まだ残っているのかもしれない。」私は、そう答え、警戒しながら周囲を見渡す。
ふと、森の奥から、微かな音が聞こえてくる。それは、悲鳴にも似た、苦しげな声だ。私は、サクラと共に、音のする方向へと進む。木々の間を抜け、開けた場所に出ると、そこには、変わり果てた姿の動物たちがいた。かつては愛らしかったであろう小動物たちは、深淵の呪いの影響を受け、凶暴な魔物へと変貌している。彼らは、互いに争い、苦悶の声を上げている。
「何てこと…」サクラが、言葉を失う。「深淵の呪いは、こんなにも多くのものを蝕んでいたのね。」私は、アトランティスの竪琴を手に取り、清らかな音色を奏で始める。その音色は、魔物たちの心を鎮め、苦しみを和らげる。しかし、深淵の呪いの力は根深く、竪琴の音色だけでは、完全に浄化することはできない。
「ミタム、私が魔力を集中させるわ。アトランティスの竪琴の音色と合わせて、浄化の光を放つわ。」サクラが、そう言い、両手を広げる。彼女の周囲に、淡い光が集まり、徐々にその輝きを増していく。私は、サクラの魔力に合わせ、竪琴の音色をさらに高める。私たちの力は共鳴し、森の中に、希望の光が満ち溢れる。
光が頂点に達した瞬間、魔物たちの体から、黒い瘴気が噴き出す。彼らは、苦悶の表情を浮かべながらも、徐々に元の姿を取り戻していく。やがて、光が消え去ると、そこには、かつての愛らしい動物たちの姿があった。彼らは、恐る恐る私たちに近づき、感謝の意を示すように、体を擦り寄せてくる。
「よかった…」サクラが、安堵の息をつく。「彼らは、元に戻ったわ。」私は、動物たちを優しく撫でながら、微笑む。「ああ、だが、これは、ほんの始まりに過ぎない。深淵の呪いは、この森だけでなく、エメラルドシティにも、その影響を及ぼしているはずだ。」私たちは、エメラルドシティへと向かい、深淵の呪いの痕跡を浄化するための、新たな一歩を踏み出す。しかし、その前に、私は、あの黒犬の魔物のことが、頭から離れない。深淵の呪いは、生き物だけでなく、無機物にも影響を及ぼす可能性がある。エメラルドシティに、深淵の呪いの影響を受けたものが存在するとしたら…




