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蜜珠の禁書  作者: mutuminn
2部
306/328

合図

私はサクラに合図を送る。泉は浄化されたが、まだ何か残っているような気がする。底に沈んでいる宝箱が、どうにも気になるのだ。


「サクラ、ちょっと待っててくれ。あれを見てくる」


私は宝箱を指差す。サクラは心配そうな顔をしているが、私の決意を理解してくれたようだ。


再び泉に潜り、宝箱に近づく。水は澄み切っているが、どこか冷たい。宝箱は古びていて、表面には錆びがついている。鍵はかかっていないようだ。


私は宝箱を開ける。中には、古びた書物と、見たことのない短剣が入っている。書物はアトランティス時代のものだろうか、古代文字で何かが書かれている。短剣は、黒曜石のような素材でできており、刃先は鋭く研ぎ澄まされている。柄には、奇妙な紋様が刻まれている。


「(これは…一体…)」


私は書物と短剣を手に、泉から上がる。サクラはすぐに駆け寄ってきて、私の無事を確認する。


「ミタム、大丈夫?何があったの?」

「ああ、大丈夫だ。宝箱の中に、こんなものが入っていた」


私はサクラに書物と短剣を見せる。サクラは興味深そうにそれらを見つめる。


「これは…すごいわね。古代文明の遺物かもしれないわ」

「そうかもしれない。でも、この短剣は…どこか不気味な感じがする」


私は短剣を握りしめる。冷たい感触が、私の肌を刺すようだ。


「ねえ、ミタム。その短剣、どこかで見たことがあるような気がするわ」

「そうなのか?どこでだ?」

「確か…エメラルドシティの図書館で、深淵の呪いに関する書物を読んだ時に…」


サクラは少し考え込む。


「その書物には、深淵の呪いを操る者が使う短剣のことが書かれていたわ。形は少し違うけれど、雰囲気がよく似ているの」

「まさか…この短剣が、深淵の呪いと関係があるのか?」


私は驚きを隠せない。深淵の呪いは、私が最も恐れているものの一つだ。


「わからない。でも、念のために、エルダーに相談してみた方がいいかもしれないわ」

「そうだな。エメラルドシティに戻って、エルダーに相談しよう」


私たちは、エメラルドシティに戻ることにする。今回の旅で、聖なる泉は浄化された。深淵の呪いの残滓は破壊された。しかし、新たな謎が生まれた。


私は、手にした書物と短剣をしっかりと握りしめる。これから、何が起こるのだろうか。深淵の呪いは、私達をどこへ導くのだろうか。胸騒ぎが止まらない。

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