合図
私はサクラに合図を送る。泉は浄化されたが、まだ何か残っているような気がする。底に沈んでいる宝箱が、どうにも気になるのだ。
「サクラ、ちょっと待っててくれ。あれを見てくる」
私は宝箱を指差す。サクラは心配そうな顔をしているが、私の決意を理解してくれたようだ。
再び泉に潜り、宝箱に近づく。水は澄み切っているが、どこか冷たい。宝箱は古びていて、表面には錆びがついている。鍵はかかっていないようだ。
私は宝箱を開ける。中には、古びた書物と、見たことのない短剣が入っている。書物はアトランティス時代のものだろうか、古代文字で何かが書かれている。短剣は、黒曜石のような素材でできており、刃先は鋭く研ぎ澄まされている。柄には、奇妙な紋様が刻まれている。
「(これは…一体…)」
私は書物と短剣を手に、泉から上がる。サクラはすぐに駆け寄ってきて、私の無事を確認する。
「ミタム、大丈夫?何があったの?」
「ああ、大丈夫だ。宝箱の中に、こんなものが入っていた」
私はサクラに書物と短剣を見せる。サクラは興味深そうにそれらを見つめる。
「これは…すごいわね。古代文明の遺物かもしれないわ」
「そうかもしれない。でも、この短剣は…どこか不気味な感じがする」
私は短剣を握りしめる。冷たい感触が、私の肌を刺すようだ。
「ねえ、ミタム。その短剣、どこかで見たことがあるような気がするわ」
「そうなのか?どこでだ?」
「確か…エメラルドシティの図書館で、深淵の呪いに関する書物を読んだ時に…」
サクラは少し考え込む。
「その書物には、深淵の呪いを操る者が使う短剣のことが書かれていたわ。形は少し違うけれど、雰囲気がよく似ているの」
「まさか…この短剣が、深淵の呪いと関係があるのか?」
私は驚きを隠せない。深淵の呪いは、私が最も恐れているものの一つだ。
「わからない。でも、念のために、エルダーに相談してみた方がいいかもしれないわ」
「そうだな。エメラルドシティに戻って、エルダーに相談しよう」
私たちは、エメラルドシティに戻ることにする。今回の旅で、聖なる泉は浄化された。深淵の呪いの残滓は破壊された。しかし、新たな謎が生まれた。
私は、手にした書物と短剣をしっかりと握りしめる。これから、何が起こるのだろうか。深淵の呪いは、私達をどこへ導くのだろうか。胸騒ぎが止まらない。




