魔法文明
老魔法使いの後をついて、図書館の奥深くへと進んでいく。無数の書棚が、まるで巨大な迷宮のように立ち並んでいる。書棚には、様々な大きさや形状の本がぎっしりと詰め込まれ、その多くは埃をかぶって古びている。中には、見慣れない文字が書かれた本や、奇妙な模様が描かれた本もある。 私は、思わず感嘆の声を漏らした。「色んな本が置いてあるんですね…」 老魔法使いは、私の言葉に反応して、ゆっくりと足を止め、振り返った。「…そうだな。何千年もの歴史が、ここに蓄えられている。中には、現代の魔法使いですら理解できないような古代の魔法に関する文献もある」 彼は、指先で一本の本を指差した。それは、他の本よりも明らかに古く、表紙には複雑な模様が刻まれている。「この本は、特に貴重なものである。古代の賢者によって書かれたものだと言われているが、その内容は未だに解読されていない」 私は、その本に近づき、そっと触れてみた。指先には、不思議な感触が伝わってきた。まるで、生きているかのような、生命力を感じたのだ。「この本の言語は…」 「古代語だ。現代では、ほとんど解読不可能と言われている。しかし、君なら…もしかしたら」老魔法使いは、意味深な表情で言った。「君には、その能力があるかもしれない。蓬莱人の血を引くという噂は、決して根拠のないものではないだろう」 彼の言葉に、私は少し驚いた。蓬莱人の血脈に関する噂は、私も耳にしていたが、まさかこんな形で言及されるとは思わなかった。「…確かに、古代の言語にも多少は精通しているつもりですが…」と、私は控えめに答えた。 老魔法使いは、少し考え込んだ後、言った。「ならば、試してみるか。この本を解読できれば、古代魔法文明の謎に大きく近づくことができるだろう」 彼は、静かに本を私に手渡した。その重みは、単なる本の重みではない。何千年もの歴史と、解き明かされていない謎の重みを感じた。
本日二話投稿